持ち家志向の高い日本。さらにマンションよりも戸建てという傾向が強いようです。またマイホーム実現の年齢が上昇しているなか、高齢者になっても住宅ローンが残っているのことも珍しくなくなっています。しかし戸建ての場合、建てたら終わりではないことを忘れてはなりません。みていきましょう。
夫婦で月22万円だったが…70代・年金暮らし「住宅ローン返済額」の衝撃度 (写真はイメージです/PIXTA)

70代の20人に1人…住宅ローンの完済に追われている

持ち家か、それとも賃貸か。たびたび話題になるものの、いまだに決着の出ていない住宅にまつわる論争。同じように、たとえ持ち家を選択しても「戸建てか、それともマンションか」の論争もまた、終わりがみえません。

 

国土交通省『令和3年度 住宅市場動向調査』によると、戸建てを建てた人(一次取得者、世帯主)の平均年齢は40.0歳。年齢別にみていくと、20代が13.5%、30代が46.5%、40代が23.3%、50代が7.5%、60代超えが9.0%と、やはり30代がボリュームゾーンではありますが、10人に1人は60歳を迎えてからマイホームを実現しています。

 

年齢を重ねると住宅ローンの審査が厳しくなるので、60歳を超えてから戸建てを建てようと考えた人は、ローンをあてにしない建て方をしているのでしょう。

 

世帯主の職業をみていくと、会社員・団体職員が45.7%、会社・団体役員が20.9%、公務員が14.1%と続きます。少ないながらも、年金受給者4.1%、無職3.1%といて、やはりこのような人たちは、ローン審査が通りづらいこともあり、「現金一括」と驚きの建て方をしているのかもしれません。

 

マイホームの購入資金は、土地と建物の建築費合わせて平均5,111万円。住宅建築費で32.9年、土地購入費は34.2年の返済期間で、平均3,909万円の住宅ローンを利用しています。

 

年間の返済額は平均139.4万円、返済負担率は18.1%。月々の返済は単純計算11万6,000円ほどになります。フラット35では、年収400万円未満の場合は返済負担率を30%以下、年収400万円以上であれば35%以下を基準としているので、それから比べると、月々の負担は少ないと考えられます。

 

それにも拘らず、住宅ローンに負担感を抱いている人(「非常に負担感がある」「少し負担感がある」の合計)は63.0%。多くの人が多かれ少なかれ、ローン返済が重荷になっています。

 

またマイホームを実現する際にはローンが不可欠なのは、今も昔も変わりませんが、変わったといえば、マイホームを実現する時期。以前であれば、50代で教育費に目途がたち、老後のための貯蓄を本格化させ、定年前に住宅ローンは完済、年金生活を迎える、というパターンが多かったでしょう。しかし晩婚化が進み、マイホーム実現年齢が遅くなったことで、ローンの完済はどんどん後ろ倒しになっています。

 

総務省『家計調査』(2021年)によると、住宅ローンの支払いがあるのは、60代前半で5.8%、60代後半で5.5%、70代前半で4.1%、70代後半で2.6%。70代前半の20人に1人は、いまなお住宅ローンの返済を続けています。