岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」。グランドデザインと実行計画の案をみると、国が「上がらない給与」を問題視し、対策を講じようとする姿勢がみえてきました。そんな日本人の給与の実情をみていきましょう。
平均23万円…日本のサラリーマン、あまりに惨めな「手取り額」 (写真はイメージです/PIXTA)

2000年以降、「貧乏と金持ち」が増えた日本

さらに年間給与額ごとに、その人数についてみていくと、対2000年比、特に年収200万円以下と、2,000万円超えが大きく増加。一方で年収800万〜2000万円は人数が減りました。金持ちと貧乏が増えた……そんな20年だったといえそうです。

 

【年間給与額別「対2000年の2020年の給与所得者数」】

  • 100万円以下:149.1%
  • 200万円以下:136.8%
  • 300万円以下:119.4%
  • 400万円以下:116.8%
  • 500万円以下:115.1%
  • 600万円以下:112.1%
  • 700万円以下:105.3%
  • 800万円以下:100.2%
  • 900万円以下:91.3%
  • 1,000万円以下:93.0%
  • 1,500万円以下:92.7%
  • 2,000万円以下:93.8%
  • 2,000万円以下:151.0%

 

さまざまな角度から「日本人の平均給与」をみていきました。冒頭にあるように、日本において賃金の伸びが弱いことは国も問題視していることですが、特に2000年以降、本格的に「日本は給与が上がらない国」になったこと、また20年で給与格差が拡大したことがわかりました。

 

なぜ賃金が上がらないのか。「デフレが続いたから」「企業の生産性が低いから」「大企業による買い叩き」など、さまざまな理由があります。特に格差拡大の理由としては、2000年に紹介予定派遣が解禁になったこと、2004年から派遣可能な業務や派遣期間に関する規制が段階的に緩和・撤廃されたことで、非正規が増えたことがあげられます。

 

現在、多くの専門家が、年内の全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率が2%程度で推移すると言っています。生活が苦しくなる一方ですが、給与も2%以上増えれば、なんの問題もありません。しかしここ20年を振り返ると、とてもそんな明るい未来は描けないでしょう。このまま貧困化を受け入れるしかないのか……。私たちは岐路に立たされています。