岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」。グランドデザインと実行計画の案をみると、国が「上がらない給与」を問題視し、対策を講じようとする姿勢がみえてきました。そんな日本人の給与の実情をみていきましょう。
平均23万円…日本のサラリーマン、あまりに惨めな「手取り額」 (写真はイメージです/PIXTA)

日本人のサラリーマンの給与、賞与除いて「368万5,000円」

岸田総理大臣が掲げる看板政策「新しい資本主義」。先月末、そのグランドデザインと実行計画の案が公表されました。そこでは、新しい資本主義の実現に向けて、「人への投資」「科学技術・イノベーションへの投資」「スタートアップへの投資」「GX及びDXへの投資」といった投資を重点化するとしています。

 

人への投資においては、①賃金引上げの推進 ②スキルアップを通じた労働移動の円滑化 ③貯蓄から投資のための「資産所得倍増プラン」の策定 ④子供・現役世代・高齢者まで幅広い世代の活躍を応援 ⑤多様性の村長と選択の重要性 ⑥人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化と指針整備 について記されています。

 

そこで「我が国の大きな課題として、単位時間当たりの労働生産性の伸びは決して諸外国と比べても悪くないにもかかわらず、賃金の伸びが低い」と問題を指摘しています。

 

OECDによる「平均年収(購買力平価ベース)」によると、日本は主要35ヵ国中20位。1990年、日本の平均年収は39,415米ドルでしたが、2020年は41,164米ドル。この30年で、米国は46,975米ドルから69,392米ドル、韓国18,171米ドルから34,929米ドルと増加しているのと比較すると、確かに日本の成長は物足りないものがあります。

 

国税庁が昭和24年から行っている『民間給与実態統計調査』でもう少し詳しく日本人の給与についてみていきましょう。

 

最新の2020年度分の調査によると、同年末時点の給与所得者数は5,928万人。そのうち、1年を通じて勤務した給与所得者は5,245万人で平均給与は433万1,000円。前年436万4,000円からマイナス0.8%減でした。

 

詳しくみていくと、給料と手当の合計が368万5,000円で前年比0.7%増。単純計算、月収は30万7,000円ほどで、手取りは23万円ほど。これが日本人の平均的な姿です。また賞与は64万6,000円で前年比8.1%減。コロナ禍、企業業績の落ち込みによって、賞与が大きく減少したことで、年間給与は前年比マイナスを記録しました。

 

男女別にみると、男性は532万2,000円で前年比1.4%減、女性は292万6,000円で前年比1.0%減。雇用形態別にみると、正社員が495万7,000円で前年比1.5%減、非正社員は176万2,000円で前年比0.9%増でした。