今回話を聞いたのは、外資系の証券会社に勤める31歳の太一さん(仮名)。世帯年収2,000万円、資金繰りに特段の不安もなく引越した港区のタワーマンション……当初は大満足であったそこでの暮らしも、今や「新たな引越し先を探している」といいます。いったいなぜなのか、みていきましょう。
手取り55万円の31歳エリート会社員…港区タワマンで感じた「窮屈さ」

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「港区タワマン生活」当初は満足していたが…

新卒で国内大手の証券会社に営業として入社した太一さん(仮名)は、28歳で外資系証券会社に転職。転職から1年後、前職の同僚であった1歳年上の優香さん(仮名)と結婚しました。太一さんは現在賞与を含めて年収およそ1,300万円で、月々の手取りは55万円ほど。また、優香さんは結婚後も仕事を続けているため、世帯年収はおよそ2,000万円あります。

 

年齢別の平均月給および階級別年間給与所得者の割合(男性正社員)

【年齢別・男性会社員の平均月給と推定年収】

20~24歳:215,400 円/3,329,700 円

25~29歳:253,300 円/4,185,300 円

30~34歳:290,500 円/4,859,800 円

35~39歳:327,000 円/5,456,800 円

40~44歳:357,600 円/5,911,100 円

45~49歳:382,800 円/6,273,400 円

50~54歳:412,100 円/6,719,400 円

55~59歳:413,600 円/6,660,700 円

60~64歳:318,100 円/4,777,200 円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値左:平均月給(所定内給与額)、数値右:推定年収

 

【階級別年間給与所得者の割合(男性正社員)】

■100万円以下…0.7%
■200万円以下…2.5%
■300万円以下…9.0%
■400万円以下…19.5%
■500万円以下…20.3%
■600万円以下…15.7%
■700万円以下…11.0%
■800万円以下…7.4%
■900万円以下…4.6%
■1,000万円以下…3.1%
■1,500万円以下…5.1%
■2,000万円以下…0.7%
■2,500万円以下…0.2%
■2,500万円超…0.1%

 

国税庁『令和2年分民間給与実態統計調査』より算出

 

また、総務省の家計調査(令和2年度分)によると、2人以上の世帯における年間の平均収入は626万円と、太一さん夫妻はおよそ3倍の収入を誇ります。


太一さんはこうした家計の状況に加えて、夫婦ともに職場へのアクセスが良好であること、比較的緑もあり子どもができても住み続けられること、近隣に友人が多いことなどを鑑み、1年前に港区内の2LDK、およそ1億2,000万円のタワマンを購入しました。

 

太一さん「引越し当初は快適でしたよ。まずなんといっても眺望が良い。『どんなに良い景色も1週間で飽きる』なんて言う人もいるけど、私はいまだに部屋からみえる景色が大好きです。あとは、24時間いつでもごみを出せるのは必須条件として、個人的にはコンシェルジュの存在がありがたいですね。共働きで忙しいなか、クリーニングや荷物の受取等、地味に面倒な部分では特にコンシェルジュがいてくれるので助かっています」

 

このように、眺望やゴミ出し、コンシェルジュなどの利便性のほか、職場を含む生活圏へのアクセスの良さや、万全のセキュリティなど、購入前に思い描いていたとおりの快適さに、当初は「ずっとここに住んでも良い」とさえ思っていたそうです。

 

しかし、太一さん夫妻は現在、「引越しを考えている」といいます。驚いて理由を尋ねると、そこにはどうしても逃れられない、タワマン独自の「窮屈さ」がありました。