PTAは学校との線引きがあいまいで、よく「学校の一部」のように誤解されていますが、本当は学校とは全く別の団体です。先生や職員さんたちも大体会員になりますが、ほぼ会費を払うのみで、活動は保護者がメインです。今さら聞けないPTAの実態とは? 大塚玲子氏が著書『さよなら、理不尽PTA』(辰巳出版)で解説します。

米国のPTAは「ボランティア」だが、日本は

■PTAの始まりはボランティアだったはずが……

 

そもそも日本のPTAがどんなふうにできたかについても、確認しておきましょう。

 

PTAはもともと、米国で誕生したものです。19世紀末、2人の母親が始めた「母親の会」がもとになったといわれています。

 

日本にPTAができたのは戦後です。GHQが、文部省を通して全国の学校にPTAをつくらせたのです。このとき、GHQの担当部局であるCIE(民間情報教育局)は、日本の大人たちに民主主義を学ばせることを意図し、戦前の「学校後援会」(「寄付」やお手伝いで学校を支える団体)からの脱却をはかったようですが、現状を見ると、残念ながら狙い通りにはいかなかったようです。PTAはできて間もない頃から、「学校後援会の看板のかけ替え」という指摘を受け続けてきました。

 

加入方法も、民主的とは言いがたい形でスタートしました。米国のPTAは「ボランティア」、つまり参加したい人が参加する「自主的な活動」でしたが、当時の日本にそんな発想はなかったのでしょう。現場では自ずと、昔から日本にあった「隣組」や「学校後援会」のように、「そこにいる人は、全員必ずやるもの」として始まったのでした。

 

あとで説明しますが、日本のPTAの最大の問題点である「強制」「義務」という性格は、日本でPTAができたこのときから、既に含まれていたのです。

 

昭和、平成、令和と時代が移ろうなか、PTAの問題点は何度も指摘されつつ、根本的にはあまり改善がありませんでした。ここ20〜30年は、少子化や専業主婦世帯の減少に伴って「活動の担い手」が減少し、より「強制」の性格を強めてしまった面もあります。

 

しかし、10年ほど前から新聞やテレビで、強制加入等の問題がたびたび報じられるようになり、最近ようやく状況が変わり始めた印象もあります。

 

今が正念場かもしれません。

 

大塚玲子
ノンフィクションライター、編集者

 

 

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本連載は、大塚玲子氏の著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

さよなら、理不尽PTA!

さよなら、理不尽PTA!

大塚 玲子

辰巳出版

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