PTAは学校との線引きがあいまいで、よく「学校の一部」のように誤解されていますが、本当は学校とは全く別の団体です。先生や職員さんたちも大体会員になりますが、ほぼ会費を払うのみで、活動は保護者がメインです。今さら聞けないPTAの実態とは? 大塚玲子氏が著書『さよなら、理不尽PTA』(辰巳出版)で解説します。

子どもが人質?親を悩ますクラス役員決め

■PTAのお金の話

 

会費の額は、PTAによってだいぶ異なりますが、年額3千円台が多いでしょうか。東京は1〜2千円台と比較的安い傾向ですが、他の道府県では、6〜7千円を超える場合もたまにあります。東京都のPTA会費が比較的安いのは、昭和の時代に、学校への「寄付」がはっきりと禁じられたことなどが背景にあります(東京でも例外はあるようです)。

 

会費の徴収単位は、「1家庭いくら」または「児童生徒1人当たりいくら」という形が多いですが、「保護者1人につきいくら」という形や、子ども2人目以降で額が変わる形、「1口いくら×口数」で申し込む形など、いろいろバリエーションがあります。

 

徴収方法も、何パターンかあります。まず、PTAが単独で集めるケースと、学校が給食費などの学校徴収金といっしょに代理徴収するケースがあり、さらに「銀行引き落とし」と「手集金」(封筒)という2種類があります。

 

筆者が以前行った調査では「学校徴収金といっしょに」×「銀行引き落とし」という組み合わせが最多で54%、次に多かったのが「PTA単独」×「手集金」という組み合わせで、24%でした。学校がPTA会費を給食費などとともに代理徴収する際の問題点については、別稿で詳しく解説します。

 

■「運営委員会」「総会」、実際のところ

 

組織全体の取りまとめをするのは「本部役員」の保護者たちです(「執行部」「総務部」などと呼ぶことも)。メンバーは会長、副会長、書記、会計(&会計監査)。人数はPTAによって幅があり、4、5人のこともあれば、十数名のところもあります。

 

なお、PTAで「役員決め」というときは、この「本部役員決め」を指す場合と「各クラスの役員=委員決め」を指す場合と2通りあります。この本では以下、前者を「本部役員決め」、後者を「クラス役員決め」、両方含む場合は「役員決め」と表記します。

 

本部役員と委員会の間には「運営委員会」というものがあります(「実行委員会」などと呼ぶことも)。これは本部役員と、各委員会の委員長(なぜか「部長」と呼ばれることが多い)で構成される委員会で、管理職の先生などと定期的に会合をもちます。

 

事業予定や予算案、会則(規約)改正などは、多くの場合、「PTA総会」で決議されます。総会は年度初めに行われることが多く、必要に応じて、臨時総会も行われます。総会には全会員が参加できますが、多くの場合、新旧役員さんと先生たちのみ出席し、その他の一般会員は委任状を出して欠席することが定番化しています。

 

PTA総会は本来、会員が議論を尽くしてPTAを動かすための大切な場だったはずですが、ほぼ形だけの〝シャンシャン総会〞になりがちなのが実状です。

 

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本連載は、大塚玲子氏の著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

さよなら、理不尽PTA!

さよなら、理不尽PTA!

大塚 玲子

辰巳出版

これまでPTA問題は「PTA役員の押し付け合い」など保護者同士のトラブルとして取り上げられることがほとんどでした。 しかし、PTAにまつわる揉め事の背景には「任意加入の不徹底」「個人情報の不適切な扱い」「PTAから学校に流…

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