(※写真はイメージです/PIXTA)

歯科のインプラント治療も随分一般的になりました。しかしいざインプラントにするべきかの決断を迫られると、今までは病気になってもどちらかと言えば治療方針も含めて“医者任せ”にしていたのが、今度ばかりはそうも行きません。自分は本当にインプラントにしたほうが良いのか、するならどのような歯科医院を選べば良いのか、このような相談が多いのは今も昔も変わりません。インプラント治療は何に気をつけて受ければ良いのか、その特殊性も含めて見ていきましょう。吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック代表・吉田格氏が解説します。

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インプラント治療前に確認したい10項目

私はインプラント治療の適否や治療する歯科医院の選び方について訊かれたとき、以下に示す10項目に沿って判断してはどうかと伝えています。まずはそちらをご紹介いたしましょう。

 

【1. 抜歯する理由】

現在ある歯を抜歯してインプラントに置き換えましょうと言われた方は、その理由をきちんと説明してもらいましょう。

 

なぜ歯を保存できないのか、また無理に保存するとどのような不都合が発生するのかを確認してください。もしその先生が歯の保存に詳しくないのであれば、必ずセカンドオピニオンをとるために他の先生を紹介してもらいましょう。そしてそのときは、できれば顕微鏡が使える先生を選んでください。

 

【2. 選択肢】

歯がなくなった部分を人工物で補う方法はインプラント以外にも、昔ながらのブリッジと入れ歯があります。それらを採用しない理由を確認しましょう。また適応は少ないのですが、歯の移植・矯正移動で解決できる場合もあります。

 

【3. レントゲン・噛み合わせ・血液検査などの資料】

レントゲン・CT・歯型の石膏模型などの資料を見せてもらい、予後予測について説明を受けましょう。また簡単な血液検査や血圧測定などの内科的な検査も必要で、特に糖尿病関係の検査は重要です。また現在内科などから処方されている薬・個人的に服用している薬・サプリメント・漢方薬などを主治医に正しく報告しましょう。

 

【4. 歯周病の検査】

歯周病はインプラントの成功率を左右する重要なファクターです。必ずすべての歯をチェックしてもらい、問題がないことを確認してからインプラント手術を受けましょう。タバコを吸う人は、そのリスクについてもきちんと説明を受けてください。

 

【5. 手術方法】

手術方法や材料について説明を受けましょう。以下で補足しますが、インプラントは正確な位置に入れることがとても重要で、そのためにどのような方法で行うのかを訊いておきましょう。またインプラント手術と同時に骨を移植したり歯肉を増やしたりする手術を併用することが結構ありますので、概要を確認しておきます。また、その予定はなかったのに手術中に突然必要になることもありますので、その可能性についても知っておきましょう。

 

【6. 歯ブラシ】

歯や口全体の現況を把握し、手術前からメンテナンスプログラムを策定してもらいましょう。必ず歯科衛生士から正しい歯ブラシの方法を習い、きちんとできるようになってからインプラント手術に進む必要があります。特に歯周病で歯を失った方は、以下で説明するインプラント周囲炎を予防するうえでもたいへん重要です。

 

【7. 同意書】

治療の見積・進行予定表をもらい、同意書をとりかわしましょう。インプラント治療は時間がかかったり、後で予定変更が出たり複雑になったりする可能性があります。「言った、言わない」が起こらないように書面で確認しましょう。

 

【8. 信頼】

いつも会う先生やスタッフは信頼でき、何でも話せる関係になっているでしょうか。インプラント手術をする先生だけが違うというときはコミュニケーションがとれていないまま手術に入るわけですから、特に重要になります。

 

【9. やり直しのときは】

インプラントに限ったことではありませんが、その成功率は100%ではありません。もしインプラントが骨とくっつかずに再治療になったり、後で説明するインプラント周囲炎などの不都合が発生したりした場合はどうするのかを事前に伺っておきましょう。再治療できるのか・誰がするのか・その歯科医院で対処できるのか・大学病院を紹介してもらうのか、などです。やり直しは考えたくありませんが、その備えをしておくことは成功に結びつける意味でも重要です。

 

【10. 考える時間】

以上のようなことをきちんと聞き、考える時間を十分とりましょう。

 

いかがだったでしょう? 次に、以上の10項目を念頭に置いて補足をします。

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。