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走っていると股関節が痛くなる…
走るとき、動作の起点となるのは股関節。股関節は、足を前に押し出したり、足を後ろに蹴り上げたり、着地するときに上半身を支えたりと、さまざまな働きを担っています。「走る」という動作において股関節にかかる負担は相当なもの。そのため痛みが出やすいのです。
ランニング中に股関節が痛くなる3つの原因
走っているときに股関節が痛くなる原因は、大きく3つに分類されます。それぞれ、対処法が異なるので、まずは原因を明確にすることが大切です。
(1)股関節に異常がある
股関節周辺の筋肉には、大腿四頭筋や内転筋、大臀筋などがありますが、これらの筋肉や、それに付随する腱に炎症が起きていると、股関節に痛みがあらわれやすくなります。一般に「股関節周囲炎」と呼ばれる症状で、レントゲン検査では異常がないものの、股関節を動かしたり、歩いたり走ったりすると痛みが生じるのが特徴です。
また、股関節の軟骨が変形し磨耗することが原因で起こる「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」や、骨盤の形態異常である「寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)」といった、骨に疾患がある場合にも、ランニングのあとに痛みが生じやすくなります。
(2)ランニングフォームが悪い
自分ではなかなか気づくことが難しいですが、ランニングフォームが崩れている場合にも、股関節に痛みが生じやすくなります。特に多いのが「左右どちらかに上体が傾いている」「猫背で走っている」など、上半身の姿勢の悪さが原因となっている場合。
股関節は、上半身と下半身をつなぐ要の部分ですから、上半身の姿勢が悪いと、股関節に大きな負荷がかかってしまうのです。ランニング仲間やコーチに走っている姿をチェックしてもらい、姿勢が悪くないか指摘してもらうのがおすすめです。
(3)左右の脚の筋肉バランスが異なっている
文字を書くとき、右手で書くか、左手で書くかによって「利き手」が異なるように、実は、脚にも「利き脚」があります。そして、知らず知らずのうちに「利き脚」に負担をかけていることも少なくありません。
また、脊椎側湾症(せきついそくわんしょう)といって、脊椎が左右どちらかに湾曲していると、左右の筋バランスが均一でなくなり、左右にかかる脚の負担が異なってきます。
左右の脚にかかる負荷が異なると、どちらか片方の筋肉が硬直しやすくなり、その結果、硬直しやすい股関節周辺の筋肉に痛みが生じてしまいます。
同じコースを、同一方向に周回するのは身体に負担
もうひとつ、見落としがちなのが「いつも同じコースを、同じ方向へ周回している」というパターンです。たとえば「グラウンドや公園を周回するのに、いつも右回りで走っている」というような同じパターンを繰り返している人は要注意です。
なぜなら、コースには目に見えないレベルで左右に傾斜があることが多く、知らないうちにどちらか一方の脚に負担がかかっていることもあるからです。
負担がかかれば、その分、股関節周辺の筋肉も硬くなりますし、炎症を起こしやすくなります。その結果、痛みが生じてしまうのです。