(※写真はイメージです/PIXTA)

虫歯の治療は、進行の程度や担当医の治療方針によって大きく異なってきます。虫歯治療の際、歯を「抜く」のか「抜かない」のか……その驚きの判断基準について、吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックの吉田格代表が解説します。

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虫歯も歯周病も細菌感染

歯の自覚症状のない異常、すなわち慢性の感染とはそんなにあるものなのでしょうか? 実は、これが結構あるのです。

 

歯科で扱う大きな疾患の代表は虫歯と歯周病の2つで、どちらも簡単にいえば細菌感染です。

 

細菌の影響で歯本体が破壊されるのが虫歯で、歯を支える骨が破壊されるのが歯周病です。建物にたとえれば、壁に穴が開くのが虫歯で、地盤が緩んで建物が傾くのが歯周病です。

 

本記事では主に虫歯が原因で感染が拡大しすぎた場合についてお話しします。

使える歯はどこまで残ってる?

痛みの出どころが歯のなかの神経であれば、とりあえずその神経をとれば痛みは引いていきます。

 

この場合は歯本体がまだたくさん残っていることが多いので、それを土台に人工物を乗せて復元します。これを補綴(ほてつ)といい、歯科の仕事の大きな部分を占めます。

 

問題なのは残った歯の量が少なすぎる場合、そして感染源が歯のなかにとどまらず周りにまで進行し、治療しても感染がとりきれない場合です。

 

どちらも歯の神経はすでになく、以前何らかの治療介入がされていた場合がほとんど。ですからまず、歯のなかの感染をできるだけ除去する根管治療(歯内治療)から始める必要があります。

 

根管治療は非常に問題が起きやすく、感染がない使える歯にするのが難しい治療です。

 

もう一方、残った歯の量が少なすぎる場合ですが、虫歯の部分はもう“歯”ではありませんので、過不足なく削りとる必要があります。

 

その結果、まだ十分な量の歯が残っていて、さらに根管治療で感染源をとりきることができれば補綴することができます。

 

ところがその補綴に要求される精度はかなり厳密なもので、精度の悪い補綴は早期に再感染したり脱落したりしてしまいます。

 

多くは神経をとった歯ですから、虫歯が拡がっても痛みがでません。ボロボロになった挙句、人工物がポロッととれたり、別な理由で痛みがでたりしてやっと本人が気づくのです。

 

ということで歯を抜くのか、抜かないのかの判断は、感染源を除去しきれるか、そしてそのあとにどれだけ健全で使える歯がいい位置に残っているかで決まります。

 

ところがこの抜くのか抜かないのかの線引きは、歯科医院によってかなり違うのです。同じ歯を見て抜歯という先生もいれば、使えるという先生もいます。いったいなぜでしょうか?

 

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本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。