コロナ禍、ウクライナ問題と厳しい状況下、わたしたちの給与も厳しい状況にあります。それは民間企業の賃金に準じる、国家公務員の給与も同じこと。エリートのイメージが強い国家公務員の給与事情と定年後についてみていきます。
「平均年収664万円」だが…定年後「本当に生活が苦しい」、エリート国家公務員の末路

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国家公務員の給与…平均6万円強引き下げ

先日、参議院本会議で、今年度の国家公務員ボーナスを0.15ヵ月分引き下げを行う、改正給与法が可決・成立しました。

 

国家公務員のボーナスについては、昨年8月、民間企業との格差是正のために、人事院が引き下げを勧告。政府は昨年の冬のボーナスについては見送り、今年度以降に先送りしていました。改正法によって、国家公務員の平均年収は行政職で6万2000円減り、664万2000円となるといいます。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性会社員の平均給与は、630万0,788円。さらに企業規模別にみると、「従業員10~99人企業」で521万4,600円、「従業員100~999人企業」で601万3,200円、「従業員1,000人企業」で718万0,700円。国家公務員の平均給与は、大卒男性会社員と同程度で、さらに「大企業>国家公務員>中小企業」という水準です。

 

国のために働いている人たちの平均給与が、大卒会社員並でいいんか、という声もあれば、給与のもとになるのが税金であることから、厳しい意見があることも確かです。

 

よく日本の公的年金は、1階部分が国民年金(老齢基礎年金)、2階部分が厚生年金(老齢厚生年金)、3階部分が企業年金とたとえられています。公務員は以前は共済年金に加入し、1階部分は国民年金で共有、2階部分は退職強制年金で、3階部分はその職域部分とされていました。

 

2015年の年金制度の改定により、共済年金制度は厚生年金制度に統一され、3階部分の職域加算が廃止。代わって、退職等年金給付が支給されることに。職域加算分の保険料は共済年金の保険料に含まれていましたが、制度変更により、別途保険料が必要となり、結果、従来より保険料の負担は増えました。

 

多少の違いはあれば、国家公務員も会社員と同様、年金が頼りの老後を迎えます。年金だけで足りない部分は貯蓄を取り崩す必要があり、将来を見据えての資産形成が必須なのは、会社員と同じです。

 

そして子供の教育費、住宅ローンの返済と、現役時代はなかなか資産形成が進められないと悩むのも、会社員と同様。そして老後のための資産形成で「退職金」が大きなウエイトを占めているのも、同様でしょう。

 

内閣官房『国家公務員退職手当実態調査』によると、国家公務員の定年退職による退職金は平均2,142万1,000円。うち行政職俸給表(一)適用者の定年退職金は2,127万9,000円。給与同様、「大企業>国家公務員>中小企業」という水準です。