4月から支給される年金が0.4%の引き下げとなりました。このような変更があるたびに、国による年金シミュレーションが公表されますが、そのモデルとなっている会社員は、どのような人なのでしょうか。みてみましょう。
国の試算「夫婦で年金22万円」だが…平均的な会社員がもらえる将来の年金額

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国の年金シミュレーション「夫婦で22万円」だが…

わたしたちの老後を支える公的年金。一定額もらえるわけではなく、現役世代の賃金などを考慮して変わります。2022年に関しては、4月分(6月15日支払い分)から、原則0.4%引き下げ。厚生労働省によると、国民年金(老齢基礎年金)満額の場合、前年度は月額6万5,075円だったのが、6万4,816円に、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、22万0,496円から21万9,593円となります。

 

この厚生年金のシミュレーションは、平均的な収入だという、平均標準報酬(賞与含む月換算)が43.9万円で、40年間就業した場合(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額の場合)の給付水準だといいます。

 

「平均的!? そんなにもらっているのか!」と思わず声をあげた人もいるかもしれません。賞与含む月換算の平均標準報酬が43.9万円ということは、年収にすると526万8,000円であり、会社人であった期間の平均だということです。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』で会社員の所定内給与額*1の分布をみていくと、中央値は26万9,100円、上位10%で47万9,800円、下位10%で17万7,000円です。また「年収526万8,000円」は、同調査では「所定内給与額34万~35万9,900円*2」にあたると考えられます。そこから算出すると、基準以上の月収の人は24.55%。つまり、おおよそ4人中3人は基準以下=夫婦で年金22万円を手にすることはできない水準だということになります。

 

*1:労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与を除いたもの

*2:所定内給与額の14.8倍が年収と算出

 

「所定内給与額34万~35万9,900円」が会社員人生の平均年収とイコールではないので、厳密なものではありませんが、それにしても、国の年金試算で登場する会社員は、ずいぶんと高属性だといえるでしょう。

 

もちろん、国で示しているシミュレーションは、会社員の夫(妻)と専業主婦(主夫)という夫婦であることが前提。夫婦共働きであれば、それぞれの給与が水準以下でも、夫婦で手にできる年金額はシミュレーション以上にできます。