リノベーションとは、「古くなった建物や部屋に大規模な工事を行い、物件価値を高めること」といわれます。特にリノベーションでキーワードになるのは「不動産価値の再生」で、単に古くなった建物をリフォームによって原状回復するのではなく、それまでにはなかった新しい付加価値を創造するところが大きなポイントです。リノベーションによって新たな付加価値を創りだすことで人気を高めることができれば、家賃アップの現実味も増しますが、実際はどの程度高く設定できるのでしょうか。考えてみましょう。
相場は9万8,000円だが…リノベーションで上げられた驚きの「家賃」

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リノベーションによる価値とはなにか

物件探しでは通常、不動産会社の担当者と一緒に候補物件を見て回ります。その際に、まず「ユニークさ」「オリジナリティ」があったほうが、入居を決めてもらううえで有利だといえるでしょう。「人と会うときは第一印象が重要」などといわれますが、部屋も同様です。

 

特にワンルームマンションであればなおさらでしょう。内装・デザインなど、最初の「見た目」はとても大切で、住むかどうかの判断に与える影響はとても大きいのです。

 

ただし物件オーナーが自分好みにリノベーションをしても、気に入ってもらえるとは限りません。それだけだとオーナーの好みと入居者の好みが一致するかどうか、偶然の世界です。そうではなく、その物件のターゲットとなる入居者のライフスタイルを考慮して、「住みたい」と思ってもらえるようなデザインが必要になります。

 

そのなかでも水回りは重要です。なぜなら、女性を中心に水回りを重点的にチェックする人が多いからです。キッチンや、風呂・トイレなどの設備には細心の注意を払い、入居者の目にどう映るかを考えてリノベーションを行うといいでしょう。

 

最近は、モノトーンを基調にした、落ち着いた雰囲気のモダンなデザインや、人気のカフェで取り入れられているような、木材やウッドプリントを使った自然な風合いのデザインが人気のようです。休日に、ゆったりとくつろげるような空間づくりが好まれています。

 

ここに住みたいと思われる、入居者が主役の賃貸物件

 

実はワンルームマンションのコンセプトとは、とても画一的なものです。

 

都会的で機能的といったコンセプトで作られているワンルームマンションは、おそらく全体の9割以上を占めるでしょう。たとえば「和モダンをイメージした部屋」といったようにエッジの効いたデザインコンセプトになっている物件を見たことがあるかというと、ほとんどの方はないと思います。

 

このように画一的なコンセプト、デザインで作られたワンルームマンションは「新しさ」「きれいさ」の勝負になってしまい、新築時の新しさやきれいさが失われてくると最後は「安さ」の勝負になってしまい、収益性を損ねてしまいます。

 

リノベーションによる中古ワンルームマンションの再生は、これとはまったく異なるコンセプトです。たとえば世界各地の住宅文化をイメージさせるような内装をデザインし、他では見られないような空間を提案することは、住む人の潜在的なニーズを刺激します。

 

オーナーの好みではなく、入居者マーケットのニーズがどこにあるのかを分析し、それに応えるのが正しいリノベーションのあり方です。

 

どんなデザインで勝負するのかも重要

 

それでは入居者マーケットのニーズに応えるデザインとは、どんなものが支持されるのでしょうか。

 

たとえば当社のリノベーション物件には、「AMERICAN」というテイストがあります。そのなかにはさらに細分化された3つのコンセプトがあり、それぞれアーリーアメリカン、西海岸のライフスタイル、そしてニューヨークの都会的なイメージを表現しています。

 

同じアメリカをテーマとしたデザインであっても、このように細かく選択肢を設けることで多様化するニーズに応えることができるわけです。

 

しかも、こうした内装デザインを実現するためには材料にもいいものを使うことが大切です。「ハリボテ」のような内装だと本当の意味でリノベーションとは言い難いでしょう。「ここに住みたい」というだけでなく「長く住みたい」と思ってもらえるかどうかが賃貸経営の成否に深く関わるのです。