過剰な期待は禁物
ここでご紹介したリノベーション物件の事例はいずれも家賃アップに成功しており、しかも高い入居率で賃貸経営の安定化に大きく寄与しています。これを可能にしたのがリノベーションですが、リノベーションには当然ながら費用がかかります。
しかも「ハリボテ」のように上辺だけをきれいにしただけだとリノベーションとはいえず、住み続けることによって入居者の満足度は低下してしまいます。やはり、リノベーションには適正な費用をかける必要があります。
投資としてリノベーション済みの物件を購入する場合は、リノベーション費用が購入費用に含まれています。また、すでに取得した物件の年数が経ち、改めてリノベーションを施す場合は、それまでに得た家賃収入の中から費用を捻出することになります。
費用をかければ、人気の内装・デザインにすることは可能ですが、際限なくお金をかけるべきではありません。回収できないほどの費用をかけては意味がなくなってしまいます。そこで重要になるのが適正な費用であり、コストパフォーマンスです。
家賃を決めるにあたっては、そうしたコストの部分も考慮して、どの程度の頻度で修繕やリノベーションが必要になるのか、それにいくらかかるのかを考えます。
長期的な計画に落とし込んだうえで、トータルで利益を上げられるかどうかを計算する必要があるのです。また、そのエリアの需要予測も併せて考慮する必要があるでしょう。
せっかく費用をかけてリノベーションをするのであれば、それが入居者から支持されるものでなければなりません。その方向性がずれていると費用をかけたものの入居率の改善や家賃アップが見込めず、賃貸経営をより厳しいものにしてしまいます。
重要なのは「マーケットイン」の発想であり、入居者のニーズをしっかりと分析したうえでそれに応えられる物件づくりなのです。
山崎 博久
リズム株式会社
アセットコンサルティング事業部長