(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染予防対策は、国ごとに取り組み方が様々です。本記事では、ボストンにあるダナ・ファーバー癌研究所の研究員である郭悠氏が、アメリカやイギリスをはじめとした各国の感染予防策や研究成果を通して、日本がこれからどう生活を変化すべきか、また、現在水面下で拡大してきている「ステルスオミクロン」の脅威について解説します。

水面下で広がっている「ステルスオミクロン」の脅威

オミクロン株の亜型であるBA.2株は2022年1月末ごろに検出されました。検出が難しく「ステルスオミクロン」と呼ばれ、主流であるBA.1株よりも感染力が強く、ワクチンや治療効果が低い可能性が示唆されています。

 

しかしアメリカではアイオワ州、メイン州、オクラホマ州以外の全土で検出されているものの「1,400例程度」に留まっており、これは全体の報告例の0.5%以下に当たります。

 

報告例のもっとも多いカルフォルニア州でも262例と少数のため、CDCはこれまでの変異株と有病率は大差ないとしています。

 

一方で規制緩和策を取っていたデンマークのほか、ブルネイ、ジョージア、ネパールといった国々ではBA.2株が深刻なアウトブレークを引き起こしました。

 

実際、デンマークのStaten Serum Instituteは、BA.2株はBA.1株に比べ感染力が30%上昇しており、ワクチンによる予防効果に対しても免疫逃避能があることを報告しています。

 

しかし、興味深いことに、ワクチンを接種した人ではBA.1株もBA.2株も感染力は強くないとしています。

 

さらに日本の佐藤佳先生、池田輝政先生らの研究グループもBA.2株はBA.1株に比べ40%感染力が強く、特に肺でのウィルス増殖能が上がっていることを報告しているなど、重症化には注意しなければなりません。

「マスクなしの生活」は非現実的

  • ワクチン接種率は日本と同程度のアメリカは、ブースター接種率が低いにもかかわらずマスク着用を自由化している
  • イギリスは、ワクチン接種率、ブースター接種率ともに高いことから予防策を緩和している
  • 予防策を緩和していたデンマークなどでステルスオミクロン株(BA.2株)がアウトブレークを起こしている
  • 日本の研究でもBA.2株の感染性の増強、重症化メカニズムが報告されている

 

これらのことから、いまだステルスオミクロン株の情報は少なく、これまでのようにまったくマスクが必要ない生活に戻ることは現実的ではありません。

 

しかし、ワクチンや治療薬による効果も明らかになってきており、予防策を緩和することは可能です。

 

今後も各国の状況を参考に我々の生活スタイルを順応させることが重要と考えられます。

 

 

郭 悠

研究員

ダナ・ファーバー癌研究所

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。