物価上昇分、給与もあがればいいのだが…
バブル崩壊以降、「物価の上がらない国」となった日本。2001年には「デフレ・スパイラル」が流行語に選ばれるほどでした。
モノの値段が上がるにしても、「給与が上がれば、別に問題はない」という考え方があります。国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2020年、会社員の平均給与は433万円。賞与などを加味して算出すると、月収では28.6万円、手取りにすると22万円ほどになります。
2000年以降の平均給与の推移をみていくと、2000年、461.0万円でしたが、ITバブルの崩壊や長引く不良債権問題などから、マイナス傾向に。さらにリーマン・ショックの煽りをうけ、2012年には408万円と、400万円を切るギリギリのラインまで減少。その後アベノミクス効果もあり増加に転じますが、2020年時点、対2000年比94%に留まっています。
その間、物価も上昇・下降を繰り返してきました。2000年以降の消費者物価指数と平均給与の推移との相関係数は0.35。緩やかな正の相関にあるというレベルでした。「物価が上昇しているから、給与もあがる……かも」といった程度でしょうか。
今回の急激な物価上昇。4月以降には、一段とモノの値段があがります。それと共に給与も増えてくれれば、それほど負担に感じることはないのですが……現在、各労組は定期昇給とベースアップで計4%程度の賃上げを目指すとして、企業に賃上げを要求しています。しかし世界の急激な変化に企業側は賃上げに対し及び腰になるだろうというのが、大方の見方。物価上昇の影響はダイレクトに消費者を襲うことになりそうです。