国内どこでも居住可…ヤフーの事例に見る「企業のテレワーク導入」のポイント【弁護士が解説】 (写真はイメージです/PIXTA)

近年、テレワークや在宅勤務を導入する企業が増えており、なかでも、ヤフーが発表した「社員が住む場所の制限を撤廃し、国内ならば、どこに居住することも認める」という新制度が話題となっています。本記事は、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が、「企業のテレワーク導入」の課題や、導入時、どのような制度設計が必要なのか、解説していきます。

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社員は国内どこでも居住可…ヤフーの取り組みが話題に

新型コロナ禍でテレワークや在宅勤務を取り入れる企業が増えていますが、そのような中、ヤフー株式会社の思い切った取り組みが話題となっています。

 

2022年1月、ヤフー株式会社は、約8,000人の社員に対して、国内であれば場所の制限なくどこでも自由に居住地を選べる制度を導入したと発表しました。※注

 

同社はこれまでもテレワークや在宅勤務を推奨していましたが、従来は出社指示を受けた翌日午前11時までに出社できる居住範囲との一定の制限を設けていたようです。

 

しかし、今回この制限を撤廃したうえ、片道交通費の上限を撤廃し、1ヵ月あたり15万円を上限に交通費の支給をすることを決めました。

 

また、テレワークや在宅勤務の環境整備に必要な費用を賄うために、給付する手当を増額し毎月最大1万円の補助をするとのことです。

 

※注…出典(読売新聞オンライン『飛行機出勤も可能、交通費は月15万円まで支給…在宅勤務導入に熱心なヤフー』2022/01/13)

テレワークや在宅勤務を導入する際の課題と解決策

テレワークや在宅勤務の導入は、多様な人材を確保しやすくなることや生産性の向上、感染症の蔓延など不測の事態が生じた際でも事業を継続しやすいことなど、メリットが多くあります。

 

しかし、導入には課題も少なくありません。テレワークや在宅勤務導入の主な課題は次のとおりです。

 

コミュニケーションが取りづらくなる

社員同士が顔を合わせる職場では、自然と会話が生まれます。雑談を通じて良好な関係性を築いたり、雑談のなかからアイディアが生まれたりすることがあるでしょう。

 

一方で、テレワークではオンライン会議システムなどを利用して会議は可能であるものの、雑談など業務以外の会話が生まれにくい傾向にあるといえます。

 

会話のなかには、すぐとなりにいるのであれば気軽に話したり聞いたりできることであっても、わざわざ会議の議題にしたりチャットをしたりするほどではないというものが少なくないためです。

 

雑談は、勤務時間を浪費しているという見方もある一方で、

 

・社員同士の円滑なコミュニケーションによって問題解決がスムーズになる
・アイディアが生まれやすくなる
・業務以外に関することを気軽に相談しやすくなる
・職場への愛着が生まれやすくなる

 

など、企業にとってのメリットも少なくありません。そのため、テレワーク環境下でコミュニケーションが取りづらくなってしまうことは、大きな課題の一つといえるでしょう。

 

解決方法としては、たとえば雑談専用のチャットルームを設置したり、定期的に出社日を設けたり、あえて雑談を目的としたオンライン会議を設定したりすることなどが考えられます。

 

勤務時間の把握がしにくくなる

テレワークや在宅勤務の課題として、勤務状況が把握しづらくなる点が挙げられます。

 

テレワークでは、どうしてもプライベートとの境目があいまいとなりがちです。そのため、勤務中に業務とはまったく関係のないことに時間を使ってしまったり、反対に残業が常態化してしまったりする可能性があるでしょう。

 

解決方法としては、業務を可視化するツールをパソコンに導入することなどが検討できます。ただし、あまりにも監視が強いと社員のモチベーションが低下してしまいかねないため、監視と信頼のバランスが重要です。

 

セキュリティに不安が残る

オフィスでの勤務ではセキュリティを一律に保つことできる一方で、テレワークや在宅勤務ではセキュリティ面で不安が残ります。

 

たとえば、カフェなどで仕事する場合、セキュリティが脆弱なWi-Fiに接続することでウイルスが侵入したり、背後の席から画面が丸見えとなったりすることなどで機密情報が漏洩してしまう危険性があるでしょう。

 

対策としては、業務に使うパソコンにウイルスソフトの導入を義務付けることや機密情報を取り扱う場合にはカフェなど決められた場所以外での業務を禁止すること、フリーWi-Fiへの接続を禁止することなどが考えられます。

 

テレワーク環境にバラつきがある

社員によって業務環境にバラつきがあることも、テレワークや在宅勤務の課題の一つです。

 

家が広くて集中できる部屋があれば望ましいですが、リビングで仕事をせざるを得ないうえに小さな子どもがいるなど、社員によっては集中できる環境が整わない可能性があります。

 

また、自宅にWi-Fiを引いていなかったり、マンションなどの住人の多くがテレワークへと移行したことで回線に負荷がかかり会議中に通信が途切れてしまったりなど、通信環境が整わない場合もあるでしょう。

 

こういった課題の解決方法としては、オフィスへの通勤との選択制にすることや勤務地近くにサテライトオフィスを導入すること、企業からポケットWi-Fiを貸与することなどが挙げられます。

テレワークの導入には、さまざまな「制度設計」が必要

テレワークの導入時には、さまざまな制度設計が必要となります。そのため、導入を検討している企業は、まず弁護士へご相談ください。

 

テレワーク導入の支援を弁護士へ依頼するメリットは、次のとおりです。

 

法的な観点から制度設計のアドバイスを受けられる

一般的に、従業員を雇用する企業は、就業規則や雇用契約書などで雇用に関するルールを定めています。テレワークや在宅勤務の導入に伴い、当初の就業規則や雇用契約とは異なる形で勤務をしてもらうこととなるでしょう。

 

また、通勤手当をどうするのか、ヤフー株式会社のようにテレワーク環境整備などのための手当を支給するのかなど、各種手当の検討も必要です。他にも、新たな勤務体系の導入には労働基準法など各種法令になど遵守すべき法令が少なくありません。

 

企業が導入した制度が法令に違反していれば、後に見直しの必要が生じてしまうほか、内容によっては社員とのトラブルに発展したり訴訟を提起されてしまったりするリスクがあります。

 

テレワーク制度の導入を弁護士へ依頼すれば、法的な観点から制度設計に関するアドバイスを受けることができ安心です。

 

セキュリティ規程など各規程の策定のサポートが受けられる

テレワークの導入にあたっては、機密情報の取り扱い規程やパソコンの取り扱い規程など、様々なルールを定め規程を整備する必要が生じます。

 

しかし、必要な規程を自社のみで洗い出して検討することは容易ではないでしょう。

 

弁護士へ依頼することで、整備が必要な規程についてアドバイスを受けることや、各種規程策定のサポートを受けることが可能です。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所 弁護士

 

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Authense法律事務所 弁護士

第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、大阪市立大学法科大学院修了。
ベンチャーファイナンスを中心とした企業法務に注力し、当時まだ一般的な手法ではなかった種類株式による大型資金調達に関与。新たなプラットフォーム型ビジネスの立ち上げ段階からの参画や、資金決済法関連のスキーム構築の実績も有する。ベンチャー企業の成長に必要なフローを網羅し、サービスローンチから資金調達、上場までの流れをトータルにサポートする。
顧問弁護士として企業を守るのみならず、IT/ICTといったベンチャービジネスの分野における新たな価値の創造を目指すパートナーとして、そして事業の成長を共に推進するプレイヤーとして、現場目線の戦略的な法務サービスを提供している。

Authense法律事務所(https://www.authense.jp/)
Authense企業法務(https://www.authense.jp/komon/)

著者紹介

連載Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説!サステナビリティ経営に欠かせない企業法務のポイント

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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