会社の中枢として活躍する「肩書・部長」の人たち。しかし、いつか役職が外れる時が訪れ、多くは「肩書・なし」で働き続けることになるでしょう。果たして、そのとき、何が起きるのか、みていきましょう。
手取り42万円・日本の部長…「給与52%減」にもうやっていられない

頑張って部長まで上り詰めたけど…

会社で努力を重ねて、部長まで昇進。「よし会社のために頑張るぞ!」とモチベーションもあがることでしょう。しかしそのモチベーション、会社を去る時まで持ち続けられるものでしょうか。

 

昨今、企業の99%が65歳まで働き続けることのできる仕組みをもつといいますが、定年そのものは60歳で、そのあとは嘱託社員などで再雇用となる企業が多くあります。また定年を前に役職定年制を導入し、新陳代謝を図る企業も珍しくありません。

 

このように考えると、会社を去る時まで肩書「部長」のままでいられる人は、ほんのわずか、といえるでしょう。

 

部長という肩書を失ったとき、企業によって制度はまちまちでしょうが、肩書なしの給与となります。仮に大卒男性会社員が60歳で定年となり、以降は部長から肩書のない立場となり同じ会社で働き続けるとしたらとしましょう。

 

定年直前の給与は1,097万0400円。そして定年を迎え肩書を失うと、給与は530万1,200円に。一瞬にして「年収52%減」となるわけです。

 

現在、2013年の「高年齢者雇用安定法」の改定により、定年年齢60歳から65歳へ引き上げられる経過措置期間。2025年4月から定年制を採用しているすべての企業は65歳定年制が義務となります。さらに2021年4月1日に施行された改正「高年齢者雇用安定法」では、「70歳までの定年引上げ」「70歳までの継続雇用制度」などが努力義務になります。

 

そう遠くない未来、70歳まで働ける環境が整備されます。しかし肩書を残したまま定年が延びては、人件費が増えて、経営を圧迫するでしょう。多くの企業が役職定年を採用するはずです。

 

60歳で役職を失い、肩書なしのまま70歳まで働き続ける。もちろん仕事内容にもよりますが、給与の大幅減でモチベーションを保ち続けられるか、少々疑問という人も多いでしょう。定年年齢を引き上げるだけでなく、いかにやる気を持続させるか、その仕組み作りも一緒に考えていかなければなりません。