(※写真はイメージです/PIXTA)

「所有者不明土地問題」の解消を目指し、2024年から相続登記が義務化されるにあたり、俳優の高橋惠子さんが「相続登記促進親善大使」に任命されました。相続したことを知ってから3年以内に申請しないでいると、10万円以下の過料が科せられる新制度が施行される予定です。いま一度、所在地不明土地に潜む問題についてみていきましょう。

あなたにオススメのセミナー

    不動産の相続は良いこととは限らない

    所有者不明土地が、引き起こした支障事例をみていきましょう。

     

    case.1:河川改良事業による用地取得

    対象地:約560㎡の墓地

    土地所有権の登記名義人:約40名の共有。ただし最終登記は昭和33年

    対応:相続調査を行ったところ、法定相続は242人。そのうち3名が所在地不明。探索を継続しながら解決方法を検討

     

    case.2:急傾斜地崩壊対策事業のため使用賃借

    対象地:約5,280㎡の山林

    土地所有権の登記名義人:法人3社(約130㎡、約650㎡、約4,500㎡ずつ所有)。昭和55年、57年、平成7年最終登記。3社は解散

    対応:会社解散の際に清算処理がされず法的に放置の状態。当時の清算人の探索を継続しながら解決方法を検討

     

    case.3:未利用地を広場やグランドとして利用

    対象地:約18ha

    土地所有権の登記名義人:約850筆、 地権者約170名のうち、約80筆、地権者約40名について相続登記がされていない

    対応:所在不明土地が多くあるため、樹木の伐採などできず、景観悪化、ごみの不法投棄などが発生。方針を立てることもできずにいる

     

    出所:国土交通省『平成29年土地白書』より

     

    所有者不明土地が発生するのは、前出のとおり、相続登記がしっかりと行われていなかったことが大きな理由のひとつ。部外者は「せっかく土地を相続できるのに、もったいない」と考えるかもしれませんが、相続の対象となる土地が資産性の高いものであれば、喜んで相続登記するでしょう。しかし現在はそうではないようです。

     

    国土交通省が行った『土地問題に関する国民の意識調査』によると、土地所有に対して「負担を感じたことがある/感じると思う」が42.3%。また実際に空き地を所有する人たちの47.4%が「土地所有に負担を感じたことがある」と回答。さらに「相続により取得した空き地」を51.4%が「負担に感じたことがある」と回答しています。

     

    土地や不動産の相続放棄は可能。相続放棄が認められたら、固定資産税等を払う必要はありません。ただし相続放棄が認められても、次の引継ぎ先や管理者が決まるまで、管理義務は残ってしまいます。

     

    また不要な土地などは国や自治体へ寄贈すればよいと聞いたことがあるでしょう。しかし多くの自治体では、土地の寄贈を受け入れないことが多いようです。自治体にしても管理に費用がかかりますし、リスクもあれば消極的になるのも仕方のないことかもしれません。かといって、利用価値の低い土地を個人や法人に寄付するのは、さらにハードルの高いことでしょう。

     

    放棄するにも放棄できない……結果、相続登記がされず、所在者不明になってしまう土地が増えていったという背景があるのです。

     

    再来年からスタートする相続登記義務化。10万円程度の科料で登記が進むとは思えないほど、実は根深い問題なのです。

     

     

    2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
    「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
    来場登録受付中>>

     

    【関連記事】

    ■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

     

    ■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

     

    ■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

     

    ■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

     

    ■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

     

     

     

    預金中心の人必見!資産の目減りに気づいていますか?

     

    “新NISA”を活用したインフレ時代の「資産保全」

    >>12/3(火)LIVE配信<<

     

     

    富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
    >>カメハメハ倶楽部<<

     

    カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

     

    【12/10開催】
    相続税の「税務調査」の実態と対処方法
    ―税務調査を録音することはできるか?

     

    【12/10開催】
    不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
    相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

     

    【12/11開催】
    家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
    “金利上昇局面”におけるアパートローンに
    ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

     

    【12/12開催】
    <富裕層のファミリーガバナンス>
    相続対策としての財産管理と遺言書作成

     

    【12/17開催】
    中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
    ―「投資先としての中国」を改めて考える

     

     

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録