消費者庁による意識調査で、9割の人が「物価上昇」を実感しています(『外食及び生活関連物資等の値上げ等に関する意識調査結果』)。原材料の世界的な高騰などを背景にした物価上昇だけに、多くの人が「仕方がない」と考えつつも、「値上げ値上げで、暮らしていけない!」と悲鳴をあげる人たちもいます。みていきましょう。
手取り16万円…「数十円の値上げもキツイ」、20代会社員の断末魔 (※写真はイメージです/PIXTA)

日常品の値上げに苦しむ「低収入」「低年金」の人たち

度重なる値上げに「仕方がない」と納得するも、収入が低い若年層や高齢者層は、数十円、数百円の値上げさえ許容できない……そんな切羽詰まった状況がみえてきました。

 

20代前半の会社員の月収は平均21万2,000円、手取り16万円程度。20代後半では月収24万4,600円、手取り18万円程度となります(厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査)』。

 

実家暮らしだったり、地方だったり、この給与で十分暮らしていけるという人もいるでしょうが、東京などの都市ではどうでしょう。家賃に光熱費などの固定費を払うだけで給与の多くがなくなり……余裕など少しもないことは想像つくでしょう。

 

20代であれば、将来に向けて貯蓄をする必要もあるでしょうが、給与の平均値からは、毎日の生活で精一杯で、未来を描くなど到底できない様子がうかがえます。

 

また年金が頼りの高齢者はどうでしょう。自営業だった人が受け取る国民年金の平均は月5万6,358円、会社員や公務員が受け取る厚生年金は平均月14万6,145円。さらに受給額の分布をみてみると、厚生年金の受給者でも、23.3%は月額10万円未満という水準です(厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』)。

 

低年金であれば、足りない生活費は貯蓄を切り崩して対応しなければなりませんが、このような人たちのなかに、どれほどの人が十分な蓄えをもって老後を迎えているでしょうか。年金を頼りにせず、自身の蓄えで生活している……そのような高齢者が大勢いるとは考えにくいでしょう。

 

値上げのニュースのむこうに、「値上げ、値上げで、もう暮らしていけない……」と将来を描けない人たちがいます。