社債スプレッドは足元で拡大
■今年に入り、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め観測を背景に、米株式市場は大きく下落しました。FRBの利上げは低格付け社債(ハイイールド社債)を含むリスク資産にとって逆風となるため、米社債市場も下落しています。金利上昇への警戒感が高まる中、企業の社債発行規模が膨らんだことも社債の下落要因となりました。投資家のリスク回避姿勢の強まりを受けて、信用リスクを映す社債スプレッド(国債との利回り格差)は拡大しました。
■社債スプレッドは11日時点で投資適格債が1.17%、ハイイールド社債が3.67%となり、それぞれ昨年末比で+0.13%、+0.84%拡大しました。年初来のリターンは金利が大きく上昇したこともあり、それぞれ▲3.9%、▲4.0%となりました。
社債スプレッドは依然低水準
■ただし、金融市場の環境悪化と景気後退を知らせる「炭鉱のカナリア」と呼ばれるハイイールド債のスプレッドは、コロナショック以前と同程度で依然として低水準にとどまっています。
■これは、米国景気が回復する中では、企業の財務悪化懸念を受けた信用リスクは大きくは高まらないと、市場がみていることを示していると思われます。
景気後退はなく、社債スプレッドの大幅拡大は見込まず
■米社債スプレッドは、米国のインフレが高止まりする中、FRBの連続利上げが見込まれるため、まだ拡大余地がありそうです。ただし、弊社は米国景気とインフレが年央以降に緩やかに減速すると予想しており、FRBの過度な利上げが景気後退を招く「オーバーキル」を想定していません。このため、企業の信用力悪化を懸念した社債スプレッドの大幅な拡大は起こりにくいとみています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FRBの金融引き締め観測で米社債スプレッドが拡大』を参照)。
(2022年2月15日)
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