ロレックス・デイトナやパテックフィリップ・ノーチラスなどの入手困難なプレミアモデルは、中古品が新品の何倍もの価格に高騰しています。そこで、時間と足を使って複数の正規店をまわる「マラソン」と呼ばれる方法で、目当ての品を買おうとする人も少なくありません。高くても中古を買うべきか、「マラソン」で新品を買うべきか……腕時計投資家である斉藤由貴生氏が、「新品」にこだわることがかえって非効率な理由と、おすすめの買い方について解説します。

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入手困難なモデル…「マラソン」は効率的?

腕時計をどこで買うか。これは非常に簡単です。

 

新品が欲しければ正規店、中古品が欲しければ中古品を扱う腕時計専門店です。正規店で入手困難な新品が欲しい場合は、中古品と同様、腕時計専門店です。欲しいモデルや、買う目的によって、「どこで買うか」を使い分ければいいのです。

 

ここでは「マラソン」と呼ばれる買い方の是非を検討してみましょう。

 

「マラソン」は、“入手困難なモデルを複数の正規店をまわって定価で手に入れる“ことで、ここ5年ぐらいの間によく使われるようになったことばです。

 

現行モデルのステンレスのデイトナ116500LNを例にとると、定価は約145万円です。中古相場は本書執筆時点で350万円以上となっています。白文字盤は、380万円以上です。

 

350万円以上の相場となっているモノが正規店に行けば145万円で手に入るわけですから、リスクを減らし、簡単に儲けるには正規店で定価で買いたいと思うのは当然の心理です。

 

ところが、正規店には売り物がありません。定価で買うために、時間と手間をかけて次から次へと正規店を訪ねるのがマラソンです。

 

しかし、私は「マラソン」行為は、あまり効率がよいと思いません。

「マラソン」してもしなくても高値で売れた

ここで1つ、私の個人的な経験をお話しします。

 

それは2006年のことで、当時は焼酎が大変なブームでした。なかで最も入手困難で不動の人気を誇っていたのが芋焼酎の「森伊蔵」で、当時の実勢価格は4万4000円ほど。定価は2000円程度でしたから、実に定価の20倍以上のプレミアム価格で売られていたわけです。

 

そのため私は、どうしても森伊蔵を定価で手に入れたいと思いました。定価で買うには、蔵元の専用ダイヤルに電話して、抽選結果を待つという方法があったので、私は家族や友人などの電話をかき集め、10以上の電話番号でエントリー。運よく2週目に当選し、森伊蔵を2000円+送料程度の費用で手に入れることに成功しました。

 

同じ時期、私はウイスキーにもハマっていて、いくつかのウイスキーをコレクションしていました。当時はまだウイスキーの人気が低く、近所のスーパーでも「響17年」が8500円ほどで売られていた時代です(2021年の相場は6万円程度)。

 

私はたまたま目にした「軽井沢ヴィンテージ1986年」を1万円ほどで購入しました。池袋のデパートでたまたま見かけ、森伊蔵のような苦労をせず、サクッと買ったものです。

 

さて、時は流れて2019年。森伊蔵の実勢価格はどうなっているかというと約2万円ほど。それに対して、軽井沢ヴィンテージ1986年はなんと25万円以上の相場に上がり、私はこの軽井沢ヴィンテージを25万円で売ることに成功しました。

 

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※本連載は、斉藤由貴生氏の書籍『データでわかる腕時計投資の正解』(イカロス出版)から一部を抜粋し、再編集したものです。

データでわかる 腕時計投資の正解

データでわかる 腕時計投資の正解

斉藤 由貴生

イカロス出版

高級腕時計を購入し、身につけて楽しみ、さらに買った値段より高く売って利益を得る腕時計投資は、売り時・買い時の見極めが重要。腕時計投資歴20年以上、日本ではじめての「腕時計投資家」である著者・斉藤は、腕時計の型番ご…

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