なぜ今「遺贈寄付」が注目されているのか?

今回は、近年「遺贈寄付」が注目されている理由を見ていきます。本連載は、日本ファンドレイジング協会(代表、鵜尾 雅隆氏)刊行、『遺贈寄付ハンドブック』の中から一部を抜粋し、遺贈寄付の基礎知識とその留意点について紹介します。

資産の一部を社会還元したいという「想い」

Q:なぜ今、遺贈寄付なのですか?

 

A:2割の人が遺贈寄付に関心を持つ時代です

 

遺贈寄付について、40歳以上の男女の21%が相続財産の一部を寄付することに関心があるという調査結果があります。実に5人に1人はお亡くなりになるときに資産があれば一部でも社会に還元してもいいと考えているということです。実際に子どものいない方が増えていることも背景にあり、関心が高まっています。

 

しかしながら、実情としては、遺贈寄付の意思のある人のうち、遺言を作成している人は3.9%にとどまります。人生の集大成で社会貢献をしたいと考える方がこれだけいる反面、実行できている人は少ないのです。この「想い」と「実現」のギャップをどう埋めることができるのかということが、今、遺贈寄付を考える必要がある第一の理由です。

 

【図表 遺産寄付注)の意思】

出典:寄付白書2011
出典:寄付白書2011

注) 寄付白書2011 では、本書が定義する遺贈寄付と同じ意味で遺産寄付
の語を使用しています。引用のため、出典の表現で記載しております。

相続税法の改正で高まる相続・遺言」への関心

日本の毎年の相続額は日本総研の試算では37兆円から63兆円ともいわれています。2015年度予算での国の税収が約60兆円ですので、ほぼ匹敵する金額となります。これだけの大きな金額が、世代間の所得移転として毎年移動しているのが今の日本です。

 

更に、近年の相続税法の一部変更があり、その影響からか、2014年頃から相続や遺言に対する関心が一気に日本社会で高まりました。書店で相続や遺言、エンディングノートなどの書籍や雑誌が平積みで売られるという状況は、数年前まで想像もできませんでした。もちろん、今日においても、相続や遺言といったテーマは、人前では話しにくいテーマであるのは間違いありませんが、少なくとも知識や情報、考えるきっかけが街にあふれる状況になってきました。

 

世界的に先進国が高齢化する中で、諸外国でも遺贈寄付の役割がいま改めて注目されています。少子高齢化社会において、すべての社会課題の解決を税金と行政だけで担うことが困難になってきています。そうした中で、自分らしい人生の集大成のあり方をかなえ、次世代のために、遺贈寄付を通じて、社会への「恩返し」をしようとする人たちが少しづつ増えてきているというのが日本においても見られている状況です。

NPO法人日本ファンドレイジング協会 代表理事

G8社会インパクト投資タスクフォース日本諮問委員会副委員長、社会的投資促進フォーラムメンバー、日本ボランティアコーディネー ター協会副代表理事、(株)ファンドレックス代表取締役なども務める。
2004年、米国ケース大学Mandel Center for Nonprofit Organizationsにて非営利組織管理修士取得。同年、インディアナ大学The Fundraising School修了。
JICA、外務省、米国NPOなどを経て2008年、NPO向け戦略コンサルティング企業(株)ファンドレックス創業。2009年、寄付10兆円時代の実現をめざし、日本ファンドレイジング協会を創設し、2012年から現職。認定ファンドレイザー資格の創設、アジア最大のファンドレイジングの祭典「ファンドレイジング日本」の開催や寄付白書・社会投資市場形成に向けたロードマップの発行、子供向けの寄付教育の全国展開など、寄付・社会的投資促進への取り組みなどを進める。
著書に『改訂版 ファンドレイジングが社会を変える』『ファンドレイジングが社会を変える』(以上、三一書房)、『NPO実践マネジメント入門』(共著、東信堂)、『Global Fundraising』(共著、Wiley)、『寄付白書』『社会投資市場形成に向けたロードマップ』(以上、共著、日本ファンドレイジング協会)などがある。

著者紹介

連載Q&Aで学ぶ「遺贈寄付」の基礎知識

本連載は、2016年3月12日刊行の書籍『遺贈寄付ハンドブック』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

遺贈寄付ハンドブック

遺贈寄付ハンドブック

鵜尾 雅隆,齋藤 弘道,樽本 哲,脇坂 誠也

特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会

遺贈寄付の基本知識をQ&A形式で分かりやすく解説したハンドブックです。 高齢化に伴い、相続財産の寄付や遺言による寄付の関心が高まっています。しかし、法務的、税務的なリスクや経験不足などで進んでいない状況です。 受…

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