会社を興す理由にはさまざまなものがありますが、コストを抑えて起業するならどのような方法が適しているのでしょうか。本記事では、永田町司法書士事務所の代表で司法書士の加陽麻里布氏が、合同会社と株式会社の起業の際にかかるコストや実態について解説します。

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株式会社と合同会社、税金面ではどちらも同じ

株式会社と合同会社の違いについてはよくご質問をうけるのですが、違いとしてはまず大きく実態面とコスト面、そして法律面の3つに分けられます。

 

そのなかでも今回は、実態面とコスト面について解説します。ご検討の参考にしていただければと思います。

 

日本では会社の数は年々増えており、法人の数は270万社以上あるといわれています。そんななかで、会社を興す際にはどのような形態を取るべきなのでしょうか?

 

結論から申し上げますと、これは皆様の目指す方向性や現在の売上などの実情によって異なります。

 

まず税金の面ですが、株式会社と合同会社でかかる税金が変わるのかというと、どちらの形態でも変わりません。

 

株式会社であっても合同会社であっても、毎年7万円の法人住民税が発生します。会社の形態や業績に関わらず7万円を納めなければいけません。これについては、会社設立に際して必ず知っておいたほうがよいでしょう。

「合同会社」を選んだことで発生するデメリット

会社の信用面では、株式会社と合同会社で比べると形態としては株式会社のほうが認知度が高いということもあり、信用面では株式会社のほうが圧倒的に有利になります。

 

合同会社は一般の方には知名度が高いとはいえず、実際に求人を出しても「合同会社ってなに? 怪しくて応募できない…」と考える人もいるのが現状です。そのため、合同会社を選ぶのであれば、信用面や知名度といった点は気をつけたいポイントです。

 

一方で、合同会社はイニシャルコストが安いため、フリーランスの方が法人成りして税務申告用に箱としてのみ使う場合や、表に出ず、上場もせず、従業員も増やさない…ということが最初から決まっているような場合は、「合同会社」という名前がついていても問題はないため、自分がどういった法人を作っていきたいのかという点がどちらの形態にするかを選択するポイントとなります。

 

次に、肩書きについてですが、株式会社の場合は会社の代表者は「代表取締役」といいます。一方で合同会社の代表者は「代表社員」といいます。

 

時々、合同会社の代表なのに名刺は代表取締役という肩書を使っている方もいますが、このような名刺をビジネスの世界で出すと「この人、会社の組織形態知ってるのかな?」というような目で見られてしまう可能性があります。

 

また、一般的には社員=従業員考える方も多いため、名刺に「代表社員」と書いても会社の代表者なのかわからないなど、合同会社はこのような点がビジネスにおいて不利に働くこともあります。

 

そのため「代表取締役になりたいから株式会社に変更したいです」と、相談に来る合同会社の代表者の方は多いです。

 

合同会社か株式会社かを決めるポイントは様々ありますが、肩書きは対人ビジネスにおいてはかなり重要なポイントですので、参考にしていただければと思います。

 

ほかにも銀行などで振り込みをする際、法人格の略称は株式会社は[カ)]のように略されますが、合同会社の場合は[ド)]となります。

 

私はYouTubeチャンネルを運営しています。定期的にGoogleから広告収入が振り込まれることがあります。その際、Googleは合同会社なので、広告収入は[ド)Google]というように振り込まれています。

 

私も長年司法書士をやっていますが、「この[ド)]ってなんだろう?」と一瞬考えたほど、合同会社の略称は馴染みの薄いものです。

 

司法書士でも戸惑うくらいですので、請求書を発行して振り込みをおこなうときに、振込先が[ド)XXX]となると、振り込めない方もいらっしゃいます。合同会社では、このような日常のちょっとした場面で弊害が出ることがあるのです。

 

このような点からも、自社が取引をするのはどのような相手なのか、BtoBなのかBtoCなのかによって形態を決める必要があるといえます。

 

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