脳の働き方の違いを理由として、「発達障害の子」の行動面や情緒面には、幼児のうちから一定の特徴がみられることがあります。子育ての過程で我が子の言動が気になり、専門機関で治療すべきかどうか悩んでいる保護者……しかし、精神科医の大岡美奈子氏は「我が子の発達障害を疑っても慌てて病院を受診する必要はない」と語ります。
「小学校入学後」に突然落ち着きがなくなる子
小さい頃にはまったく気にならなかったのに、小学校入学後になってから授業中に立ち歩いたり、集団行動がうまくとれなかったり、一斉指示を聞き漏らしてしまったりというような行動が目立つようになるお子さんもいらっしゃいます。
これまでは家庭中心だった生活が一気に学校に適応しなければならなくなるわけですから、多少は落ち着きがなくなっても無理からぬことで、多くの場合は慣れてくるにつれ、徐々に行動も落ち着いてくるものです。
しかし、なかにはいわゆる通常級の一斉授業ではどうしても集中できない子や、同世代の大人数のなかで過ごすことに苦痛を感じる子もいます。
そういうときにスクールカウンセラーに相談したり、特別支援教室や、通級指導教室などを利用したりすることでうまくいくケースもあります。
特に、通級指導教室は私の外来でも通っているお子さんはたくさんおりますが、通常級に所属しながら週に1〜2回通級して利用できるので、集団が苦手な子でもほっと息抜きできる場にもなっているようです。
大岡 美奈子
東邦大学医療センター大橋病院/東京都大田区六郷こどもクリニック
精神科医
東邦大学医療センター大橋病院/東京都大田区六郷こどもクリニック
精神科医
精神科専門医/子どものこころ専門医
1972年生まれ。平成8年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン科を卒業し、翌年渡米。ニューヨーク大学大学院教育学部に入学し非言語的精神療法のひとつである芸術療法を専攻、平成13年心理学部に編入し平成14年5月に修士取得。同年滋賀医科大学医学部医学科に学士編入学。平成19年4月より東京大学医学部附属病院にて初期研修を開始し、出産/育児を経て、平成25年より東邦大学精神神経科入局、平成30年より同講座助教を務め、現在東邦大学医療センター大橋病院心の診療科医局長、東京都大田区六郷こどもクリニックにて子どものこころ外来を担当。精神科全般に精通しているが、特に児童思春期を専門とし、主にデザインやアートと医療の融合を研究テーマとしている。
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