(※写真はイメージです/PIXTA)

脳の働き方の違いを理由として、「発達障害の子」の行動面や情緒面には、幼児のうちから一定の特徴がみられることがあります。子育ての過程で我が子の言動が気になり、専門機関で治療すべきかどうか悩んでいる保護者……しかし、精神科医の大岡美奈子氏は「我が子の発達障害を疑っても慌てて病院を受診する必要はない」と語ります。

専門医が「病院」ではなく「福祉窓口」をすすめるワケ

最近では育児書にも発達障害について細かく記載されておりますので、読んで心配になってしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。お子さんのこうした行動が気になった場合は、まずはお住まいの区市町村の福祉窓口で相談してみることがおすすめです。

 

1歳半児健診や3歳児健診で相談してみるのもよいと思います。保健師さんや心理士さんが相談に乗ってくれて、内容に応じた提案をしてくれます。福祉窓口で相談すると、場合によっては「療育」を提案されることもあるかと思います。

 

療育とは、障害のあるお子さんに対して、個々の障害の程度や特性に合わせ、自立や社会参加を目標とした個別もしくは小集団でのプログラムを定期的に行い、お子さんの成長発達を支援する場を言います。

 

原則的に診断名は必要ではなく、「疑い」の段階であっても本人もしくはご家族が社会参加において何らかの不安を抱えており、療育を受けることを希望していれば申請は可能です。医師の意見書が必要な場合もありますが、その場合も「診断名」は必須ではありません。

 

療育を利用するための手続きの詳細は自治体のホームページ等でご確認頂けます。多くの自治体において、2歳〜就学前のお子さんでは「児童発達支援事業所」、6〜18歳では「放課後等デイサービス」という名称の療育施設で利用することができます。

 

一概には申し上げられませんが、一般的に未就学児では、医療機関を受診するよりも先に区市町村での療育サービスをご利用頂くほうが有益なことが多いです。

 

前述の通り、発達障害のお子さんへの支援は「治す」というよりは「育てる・育つ」という要素が大きいため、慌ただしい病院の外来のみでは力不足な面が多々あります。

 

また、就学前の療育利用のみで改善し、小学校からは通常級で問題なくすごせているお子さんもいらっしゃいますので、まずはこうした福祉サービスを試してみる価値はあると思います。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。