大学を卒業しても希望通り就職できず、その後も受難続きだったといわれる氷河期世代。彼らは社会人になってから、どのような時代を歩み、この先、どのような未来がまっているのでしょうか。みていきましょう。
一度も正社員になれない「氷河期世代」老後も報われない酷い現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

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仕方がなく、大卒「一時的な仕事に就いた」氷河期世代の人たち

先月、人事院が「就職氷河期世代」を対象とした国家公務員中途採用試験で、203人が合格したとしました。試験の申込者は5,302人で倍率は約26倍。合格者が最も多かったのは国土交通省で53人。法務省48人、厚生労働省39人と続きました。

 

「なぜ氷河期世代を対象とした試験?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、政府は氷河期世代の支援に積極的です。先日、内閣官房から公表された『就職氷河期世代支援に関する行動計画2021』でも「国家公務員や地方公務員の中途採用の促進」は、具体的な取り組みとして記載されています。

 

そもそも世代でなければ「氷河期世代」と聞いてもピンとこないかもしれません。バブル崩壊以降、雇用環境が悪化した時期に就職活動を行った「氷河期世代」は、希望する就職ができず、諦めて不安定な雇用環境にいたり、無業の状態にいたりと、さまざまな困難な課題に直面してきました。

 

どれほどの範囲の人をいうのかはさまざまな説がありますが、1993年~2005年卒が多くみられる定義で、それによると、現在の40代はほぼ、氷河期世代にあたると考えていいでしょう。

 

大学卒業しても就職できず、やむを得ず、非正社員を選んだ人も多くいました。文部科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』で、大学卒業者のうち「一時的な仕事に就いた人」の推移をみていくと、バブル崩壊後、1996年に1万人を突破し、2000年から2003年までは2万人台で推移。その後、2006年までは1万人台をキープしました。

 

【「大学卒業者数」と「一時的な仕事に就いた者」の推移】

2008年  555,690人/8,971人

2007年  559,090人/9,990人

2006年  558,18人/12,039人

2005年  551,016人/12,061人

2004年  548,897人/12,412人

2003年  544,894人/25,255人

2002年  547,711人/23,205人

2001年  545,512人/21,514人

2000年  538,683人/22,633人

1999年  532,436人/16,023人

1998年  529,606人/11,957人

1997年  524,512人/10,738人

1996年  512,814人/10,514人

1995年  493,277人/9,280人

1994年  461,898人/7,709人

1993年  445,774人/5,494人

1992年  437,878人/3,941人

 

出所:『文部科学統計要覧・文部統計要覧』より作成

 

もちろん、自ら「一時的な仕事」に就いた人もいたでしょう。しかしその推移をみると、いかに氷河期世代が就職で苦労したかがわかります。