(※写真はイメージです/PIXTA)

オミクロン株の出現により、世界中で再び新型コロナウイルスの新規感染者数が増加している現在。日本でも徐々に感染例が報告されています。こうしたなか、世界では「3回目のワクチン接種」が進んでいますが、そもそもオミクロン株に既存のワクチンは有効なのでしょうか。また、3回目の接種による副作用等、安全性も心配されます。今回、熊本大学ヒトレトロウィルス学共同研究センターでウイルス抗体を専門に研究している郭悠氏に、3回目のワクチン接種の必要性について話を伺います。

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「3回目のワクチン接種」は本当に必要なのか

オミクロン株の出現により、アメリカでの新型コロナウィルス(COVID-19)新規感染者は1週間に72万5,750人に達しました(12月21日WHO発表)。日本でも羽田空港でオミクロン株感染例が13例報告されており、政府も政策に乗り出しています。

 

アメリカのCenters for Diseases Control and Prevention(CDC)は、COVID-19の新たな対策として、ファイザーまたはモデルナのワクチン接種後6ヵ月以上経過した18歳以上の人に対して3回目の追加接種を推奨しています。

 

ここでは3回目のワクチン接種について、カナダのOntario Ministry of Health and Long-Term Careが詳しいガイドラインを作成していますので、それをもとに説明したいと思います。

 

CDCは3回目のワクチン追加接種の根拠として、感染予防効果は時間とともに減弱すること、追加接種でデルタ株を含めた変異株への予防効果が増強すること、COVID-19の症状を抑えることなどを挙げています。

 

そこで、日本政府も現在ワクチン2回目と3回目の接種間隔を8ヵ月としているところ、アメリカと同じ6ヵ月にすべく、ワクチンの供給量を確保しようと動いています。

 

なお、カナダでは3ヵ月以上間隔を空ければワクチン接種可能としています。

 

現時点ではオミクロン株へのワクチンの効果は不明ですが、少なくともワクチン接種はデルタ株感染時に症状の抑制効果がみられていることから、CDCはワクチン効果を持続させる必要があることを根拠として挙げているのです。

3回目のワクチン接種…安全性は?

新型コロナウィルスではメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが承認されていますが、mRNAワクチンに特異的な副作用のひとつとして心筋炎や心膜炎が報告されています。

 

3回目の追加接種では1回目接種時に比べ心筋炎/心膜炎の発症頻度は高いものの、2回目接種と比べ低くなっています。

 

厚労省によると、この心筋炎/心膜炎の副作用発症率はそれぞれの年齢でファイザー社ワクチンは100万人あたり0.9~16.4人、モデルナ社ワクチンで100万人あたり1.0~87.6人と報告されており、他の感染症に対するワクチンと比べて特に高いわけではありません。

 

しかし、これら心筋炎/心膜炎は、中等症以下の発症ではありますが、10代20代の若者の発症率が高い傾向にあり注意が必要です。

 

また、2回目接種までに心筋炎/心膜炎を発症した人には、3回目接種は推奨されません。

 

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本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。