「しんどいな」と思ったら早めに受診してほしい
狭窄が軽度の段階での発見と適切なタイミングでの治療が必要になるわけですが、まずは症状の出始めを見逃さないことが重要です。「ちょっとしんどいな」と思ったら早めに医師にご相談ください。また、聴診もしくは健康診断で心雑音が指摘されたら、循環器専門の医師に心エコー図検査をしてもらうようにしましょう。
狭窄が起きていると診断された場合、自然には元に戻ることはなく進行していく病気であることをまずは認識する必要があります。その上で、定期的な診察と心エコー図検査を行って、自覚症状と重症度の変化を正確に評価し、治療のタイミングを逃さないことが重要です。
大動脈弁狭窄症は、自然に治ることはありません。患者さんの状態によって、薬で症状を緩和し経過観察を行う保存的治療や、手術治療を選択しますが、根本的に弁の開放を改善するためには手術治療しかありません。
先ほど述べた、症状のある重症大動脈弁狭窄症の患者には、弁を人工弁に交換する外科的治療(手術)を行います。
手術には胸を開いて一時的に心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を用い、心臓を切開して弁を人工弁に交換し機能を回復させる開胸手術と、太ももの付け根などの血管からカテーテル(細い管)を用いて人工弁を心臓まで運び留置するカテーテル治療があり、それぞれに利点と欠点があります。年齢や併存疾患、全身状態など、患者ごとに最適な治療法を選択することになります。