ある島では100人以上をケアマネ1人で担当
また、日報の記入を課す事業所もあります。その日何軒の家を訪問し、利用者はどのような状態だったのかを詳細に記入するといいます。研修などによる不在時に、別のケアマネに対応してもらうことがあるため、日報で情報を共有する必要があるのです。
パソコンに向かい、そうした書類をつくっているときも、サービス事業者から電話が入ったりします。彼らは利用者に異変を感じたとき、ケアマネに報告しなければならないのです。
35人の利用者を担当していれば、その35人をつねに気にかけておかなければならず、適切に対応する必要もある。私からすれば「そんなすごいこと、よくできるなあ」と思うような仕事です。
なお、35人が基準とはいえ、やむをえない事情でそれを超える利用者数を担当するケアマネもいるそうです。要介護者数にケアマネの数が追いつかない地域です。
ある島では、要介護者が100人以上いるのにケアマネはひとりしかおらず、すべての人を担当しているケースがあるとか。そんな地域ではケアマネの良し悪しなどいってはいられず、担当してもらえるだけでありがたいと思わざるをえないでしょう。
ところで、ケアマネは自分の仕事を「報われている感」が少ないと感じることが多いといいます。
35人を担当しているケアマネにとって、ひとりの利用者は35分の1の存在です。もちろん、利用者の自宅を訪問し、体の状態や受けている介護サービスについて面談しているときは、その人のことに集中していますが、それが終われば、別の35分の1の人に意識を向けるのです。
しかし、利用者から見れば、そのケアマネは自分を担当する、たったひとりの存在。ひとりのケアマネが30人以上を担当しているなどという知識もありませんから、自分のケアに全力を注いでくれていると考えます。
その温度差が原因で、ケアマネと利用者の信頼関係にひびが入ることもあるのです。
相沢 光一
フリーライター