欧米の20~30代を中心に、労働に縛られ続けない人生「FIRE(Financial Independence Retire Early)」が話題となり、国内でも副業や投資による資産形成意識が高まっています。「不動産投資」でサラリーマンを辞めることは実際に可能なのか、リズム株式会社の資産コンサルタント、山崎博久氏が解説します。
サラリーマン大家は「いくら家賃収入があれば」会社を辞められるのか?【資産コンサルタントが解説】

サラリーマンを「辞める前」にやっておきたいこと

専業不動産投資家への第一歩は、サラリーマンのうちの「実績作り」

実はサラリーマンは不動産投資を始めるのに有利な立場にあることをご存じでしょうか。その理由は、融資の審査で有利になる可能性があるからです。

 

不動産投資では少なくとも数千万円クラスになる収益物件を購入する必要があるため、その資金を金融機関からの融資によって調達するケースが大半です。

 

金融機関の審査で重視されるのは「安定的な収入」や「返済能力」、「自己資金」などです。このうちサラリーマンは収入が比較的安定している属性になるため、「安定的な収入」が見込まれることから「返済能力」を証明しやすいのです。

 

理想的なのはサラリーマンのうちに融資を利用してそれを返済し、実績を作った上でサラリーマンを辞めて専業不動産投資家になるといった流れです。

 

実績を作っておくと次の審査に通りやすくなるため、サラリーマンのうちに実績を作っておくことは投資家としての財産になります。

 

家族の了解を得たうえで専業に

家族がいる人は、身近な人たちへの説明も忘れないでください。いくら不動産投資によって収入のメドが立っているからといっても、それまで勤めてきた会社を辞め、サラリーマンから投資家という自営業者になるのは人生の大転身です。

 

「収入が減らなければ問題ない」ということではなく、ご家族の理解と了解をきちんと得てから専業になる決断をしましょう。

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サラリーマンを辞めるメリット・デメリット

サラリーマンを辞めるというのは、人生において大きな決断です。特にこれまでサラリーマンの経験しかない人にとっては、より大きな決断となります。ここではサラリーマンを辞めることについてメリットとデメリットを再確認しておきましょう。

 

サラリーマンを辞めるメリット

サラリーマンを辞める最大のメリットは、経済的、身体的、そして精神的な自由の獲得です。「時間があればもっと〇〇をしたい」と考える人はとても多いと思いますが、定年退職を待っていては、いつまで経っても自分のやりたいことを始めるのは難しいかもしれません。

 

しかし、サラリーマンを辞めることでその問題は一気に解消します。好きなことに時間を使えるのは、お金が自由になることよりも実は贅沢なことです。通勤時間が長かった人にとっては、その時間も自分や家族との時間になります。

 

時間が自由にならないあまりに家庭不和になってしまう事例は枚挙に暇がありませんし、過労によって心身ともに病んでしまう人も珍しくありません。不動産投資家として独立することができれば、こうした問題からも解放されるでしょう。

 

サラリーマンを辞めるデメリット

不動産投資を始めるとき、都内にあるマンション一棟を買えるぐらいの資産があったり、収益マンションを親から譲り受けたりしている人は別ですが、そうではない人のほうが多いはずです。

 

ゼロから不動産投資を始めた人が、金融機関でローンを組み、区分マンションを1つ、2つと増やしつつ、最終的に6〜7件ぐらいを所有するようになるためには、短くても10年の年月がかかるでしょう。

 

また、その間に起こりうる家賃相場の下落や空室が続くといったリスクも想定しておかなければなりません。そう考えると、会社に勤めたまま物件を増やすほうが、投資リスクは低いと考えることもできます。

 

先ほど述べたように不動産投資ローンを組む際に、サラリーマンは有利です。金融機関の融資審査では、雇用が安定し、月々の給与所得があるサラリーマンは高く評価されています。勤務先が上場企業や大手企業であれば、なおさらでしょう。

 

空室が出て家賃収入が入らない時には、ローンの返済を給与所得で補填することも可能なのです。

 

さらに、サラリーマンを辞めると税金面でのメリットを手放すことにもなります。会社に勤めながら不動産投資をする場合は、会社からの給与所得と不動産所得の「損益通算」が可能です。

 

不動産経営で赤字が出た場合、給与所得と相殺して、税金の対象となる所得額を減らすことができます。サラリーマンを辞めて専業になると、こうしたメリットも得られなくなってしまいます。