これまでにはない就職難に見舞われ、現在も貧困で苦しんでいる人が多いといわれる「ロスジェネ世代」。彼らが、本当に「ロスト」したものとは。みていきましょう。
就職難で苦しんだ「ロスジェネ世代」は、具体的に何を失ったのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

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1970年~1982年生まれ…就職難に見舞われた「ロスジェネ世代」

「ロスジェネ」とは「ロスト・ジェネレーション」の略。つまり「失われた世代」のことです。明確な境はありませんが、バブル崩壊後から約10年間に就職活動を経験した人たちを指し、だいたい1970年~1982年ごろに生まれた世代がそう呼ばれているようです。

 

1970年生まれとすると、大卒で新社会人となったのは1993年で、今年51歳。1982年生まれであれば、2005年に大卒新社会人となり、今年39歳。現在40代の人はすべて「ロスジェネ世代」というわけです。

 

そもそもロスジェネの発端となったバブル崩壊がなぜ行ったのか、さかのぼること、バブル景気前。当時、円安を武器に輸出産業で大幅な黒字をあげていた日本に対し、大幅な貿易赤字に陥っていた米国。そのような状況を打破しようと、円高に誘導する「プラザ合意」を締結、1ドルは約250円から約150円まで円高が進み、日本は一時的な不況にみまわれます。

 

その対処として、当時の日銀が行った金融緩和政策で、企業は融資によって株や土地に投資するようになります。結果、不動産価格は上昇の一途を辿り、株価も高騰。そんな好景気は実体経済と乖離しており、日銀の金融引き締めによりあっという間に崩壊。多額の融資を受けていた企業は次々と倒産し、不良債権の処理で金融機関まで経営の危機に陥ります。「国は、まさか金融機関まで潰さないだろう」と思われていましたが、山一証券や北海道拓殖銀行などが相次いで破綻。経済の停滞は、10年、20年と続いていったのです。

 

この世代の就職がどれほど厳しいものだったのか、大学就職率の推移をみていくと、バブル崩壊後、10年ほどで10%程度下落。最悪だった2002年では、大学を卒業しても1割は就職が決まらず、という状況でした。

 

【大学就職率の推移】

1993年 98.5%

1994年 97.5%

1995年 96.9%

1996年 96.4%

1997年 96.7%

1998年 96.2%

1999年 93.6%

2000年 92.1%

2001年 92.8%

2002年 89.7%

2003年 90.0%

2004年 92.1%

2005年 94.1%

 

※就職希望者(内定者+就職を希望する未内定者)に占める就職内定者の割合。4月1日時点の調査による

出所:厚生労働省『厚生労働省白書』より