コロナ禍により給与が減ったり失業したりして、家賃が払えない、さらには住む家まで失うという人が増えています。厚生労働省の調査などから、生活困窮者の実情をみていきましょう。
住む家がなくなりました…生活困窮、家賃滞納の苦しすぎる現状 (※写真はイメージです/PIXTA)

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給与が減って家賃が払えず…100件に1件で家賃滞納の現実

新型コロナウイルス感染症のパンデミックからもうすぐ2年。緊急事態宣言、行動制限と、さまざまなシーンで自粛を余儀なくされるなか、飲食業や旅行業を中心に、大きな打撃を受けました。

 

オミクロン株の騒ぎで世界はもちきりですが、日本では感染が落ち着いていることから、「第6波がこないうちに」と、飲食や旅行を楽しんでいる人も多いようです。

 

そのような状況を反映してか、2021年10月時点の完全失業者数は183万人と4ヵ月連続の減少となり、完全失業率(季節調整値)は2.7%と前月に比べ0.1ポイント低下と改善がみられています(厚生労働省『労働力調査』より)。

 

一方で厚生労働省『毎月勤労統計調査』(2020年)によると、現金給与総額は31万8,387円で前年比1.2%減。うち一般労働者が41万7,453円で前年比1.7%減、パートタイム労働者が9万9,378円で前年比0.4%減。 政府の手厚い特例措置も功を奏し、仕事を失うことはなくても、「給与減」で苦しんでいる人は確実に増えています。

 

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会による賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』で家賃滞納の状況をみていくと、2020年下半期「月初全体の滞納率」は全国で5.0%(上半期5.2%)、首都圏で4.1%(上半期4.2%)、関西圏で8.2%(上半期7.2%)。

 

1ヵ月の家賃滞納は、振込忘れなどの“うっかり”の可能性が高いですが、2ヵ月の家賃滞納となると、困窮などから家賃の不払いが常態化しやすいといわれています。そこで2ヵ月以上の家賃滞納率に絞ると、全国で1.1%(上半期0.9%)、首都圏では0.8%(上半期0.6%)、関西圏では若干高く1.4%(上半期1.1%)となっています。コロナ禍前の2019年下期と比べて、全国では0.2ポイント増、首都圏でも0.2ポイント増、関西では0.3ポイントの増加となりました。

 

賃貸物件100件に1件の割合で家賃が払えない苦境に立たされている……それが現実です。