良い業者、悪い業者の見極め方の基本は「電話対応」
私は、セミナーを行った際、終了後に必ずアンケート調査を実施しています。また、最後に「次回、聞きたいことはなんでしょうか?」と、参加者が一番なにを知りたいのか、今後のセミナーに役立てるための質問をしています。そのアンケートで「良い業者、悪い業者の見極め方を教えてください」という質問がありました。
答えは「最初の電話対応」です。
軍用地は需要が多く、圧倒的に供給が追いつかない状況です。ですので、物件情報を握っている不動産業者が「上から目線」的な対応をすることも、残念ながらあります。
電話の受け答えがすべてはありませんが、「初心者だから軽く扱ってもいい」というのは人間として信頼感に欠けます。軍用地投資は一般的な不動産取引のようなトラブルは起こりにくいといわれていますが、それでもなにかあった際に、「上から目線」的な人がこちらに真摯に向き合ってくれるとは考えられません。ましてや安くはない買い物ですから、万が一の失敗も許されません。売主、買主双方が気持ちよく取引を進められる業者かどうかの判断は、最初の電話対応で決まるといっても過言ではありません。
たとえば、一つの質問に対し、いくつも質問以外のことを丁寧に教えてくれたり、こちらが期待する以上の結果をもたらしてくれる電話対応の不動産会社は、間違いありません。ここで間違って欲しくないことがあります。不動産会社の営業マンも人です。顔の知らない人から、いきなり質問攻めにされるとムッとします。信頼性が構築されていない状況での電話対応は、お互い気をつけなければいけません。
基本、営業マンはおしゃべり好きです。こちらが話しやすいように下に出ながら、「さしすせそ」の相槌を打つと、営業マンはなんでも教えてくれます。「さしすせそ」は、会話に役立つフレーズの頭文字を取ったものです。
さ:さすがですね、最高ですね
し:知らなかったです
す:すごいですね、素晴らしいです
せ:先生と呼んでいいですか
そ:そうなんですね、そのとおりです
「さすがですね、全然知りませんでした」と褒めるのは、知識が豊富な営業マンを褒めているようなものです。
「すごいですね、〇〇先生と呼んでいいですか」といわれると、営業マンはその気になってなんでも話しちゃいます。
相槌で相手の気分を高めることで、軍用地に役立つ情報を聞き出せるのです。
私は、セミナーで常々こういっています。
「安く買うことに力点を置くより、少々高くても対応の良い業者から買いましょう」
なぜなら、対応の良い業者には、売主も「この業者なら安心だ」と物件を任せるからです。売主の立場で考えてみましょう。売主はなるべく高く、なるべく早く、しかも安全・確実に売却するにはどうすればいいか頭を働かせるわけです。
そのためにどこの不動産業者に相談し依頼すればいいのかを友人・知人などに相談するケースが多いようです。そのとき頼りになるのが「口コミ」。「〇〇不動産は対応がよかった」といわれれば、その不動産業者に愛着のある自分の不動産も任せたいと思うのが常。必然的に物件情報は、対応の良い業者に集まってくるので、このような業者とつながっておけば、優良な物件情報が得られる確率が高くなります。
私が業者の電話対応で一番心に残っているエピソードを紹介しましょう。それは、12年前に軍用地投資を始めようとした際のこと。軍用地投資についてなにも知らず、素人だった私はいきなり業者に直接電話をしました。その業者は、初心者の私に懇切丁寧に10分以上も説明をしてくれ、最後に「仲里さん、軍用地を買ったら絶対売っちゃダメ。沖縄で成功している人のほとんどが軍用地主だよ」と話すではありませんか。
軍用地の売買手数料で利益を上げている業者が軍用地を売るなとは……と、最初は不思議に思いました。売買の数が増えれば増えるだけ、彼らの手数料収入は多くなるのですから。しかし、逆にこの業者は信用できる、この業者が紹介してくれる軍用地は間違いないと実感できました。
この業者とのやり取りがなければ、軍用地投資を始めることはなかったかもしれませんし、こうして本を書くこともなかったでしょう。結局、この業者から軍用地は買うことはできませんでした。当時、この業者が紹介していた物件はすべて1000万円以上の高額物件だったので、初心者の私には手が届かなかったのです。しかしいまでも機会があれば、ぜひ、この業者から買いたいと強く願っています。
仲里 桂一
軍用地投資コンサルタント
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