返還予定地の「小規模物件」には注意が必要
牧港補給地区や普天間飛行場、キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧などの返還予定のある軍用地は、跡地利用を見込んで高値で取引されています。
しかし、30坪未満の小規模物件は購入すべきではないと私は見ています。なぜなら、基地返還後の土地区画整理事業により、土地の面積は「減歩(げんぷ)」されるからです。
「減歩」とは、道路を拡充したり公園を整備するための用地を土地区画整理事業区域内の土地所有者が平等に提供すること。法律によって定められているもので、事業によってその土地の評価が上がるので、受益者となる土地の所有者に損失が生じないという考えに基づくものです。ある不動産業者から聞いた話では、減歩の割合は住宅地なら30~40%、商業地の場合は50%にもなることがあるようです。
たとえば、自分の土地が100坪あると仮定すると、区画整理後には50~70坪になってしまうということです。
所有している軍用地が返還後に住宅地になるとすると、面積が30 坪の場合、減歩後の面積は18~21坪ということになり、住宅を建てるのは困難となってしまいます。減歩後に戸建て用地として30坪程度確保するためには少なくとも40~50坪は欲しいところ。沖縄では30坪未満の土地を活用することは非常に厳しいので、返還前に売却するか返還後に隣地の所有者に売るか、事業予定者に賃貸するかしか、出口は残されていません。
浦添市は、一括交付金を活用して、跡地利用を推進するため、牧港補給地区を返還前に地主の求めに応じて、買取を行っています。市の担当者に聞いたとこと、市へ売却する地主のほとんどが小規模の土地の所有者でした。 評価額が高止まっていることから、評価額が高いうちに売り抜けようとして、応募が殺到していたそうです。また、担当者は、大規模な土地は、返還後は資産価値が上がると見込まれるので、市に売らずに所有し続けたほうが賢明だと教えてくれました。
以上のとおり、小規模用地の場合、減歩された土地の面積によって出口戦略が大きく左右されてしまうので、返還予定地の小規模物件は控えるべきです。
仲里 桂一
軍用地投資コンサルタント
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