日本が海外に比べてあまりに遅れている…コロナ禍で気づいた、「たった一つの恐しい原因」

日本が海外に比べてあまりに遅れている…コロナ禍で気づいた、「たった一つの恐しい原因」
(※画像はイメージです/PIXTA)

ニューヨークのタイムズスクエアは、日本企業の広告一色だった……。もはや都市伝説にすら聞こえる、日本の隆盛。日本のGDPおよび国際競争力が急速に低下した理由は何か。ヴェリア・ラボラトリーズ代表取締役社長の筒見憲三氏は書籍『データドリブン脱炭素経営』のなかで、その原因を考察しています。

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    日本が「海外よりも遅れている」残念なただ一つの理由

    日本企業には、自社のビジネスにテクノロジーを活かそうという意識が海外企業と比較すると低いのではないか、という意見を聞いたことがあります。

     

    日本では、現場の人たちの経験や知見によってビジネスを円滑に運営し、売上を伸ばそうという職人的で、かつ属人的な対応が一般的でした。今でもこの風潮や雰囲気は、根深く日本企業には残っているのではないでしょうか。古い歴史のある企業ほど、その傾向が強いとも言えるでしょう。

     

    こうした職人的・属人的な風潮や雰囲気がすべて悪いということではなく、日本企業の大変優れた良い面でもありますが、デジタル化という切り口から見ると、残念ながらこの点が阻害要因となってしまいます。

     

    こうした古き良き特質によって日本企業は、市場が一定に拡大している局面では、この人海戦術的な現場対応力を大いに発揮し継続的な成長を達成することができました。

     

    1980年から1990年初頭のバブル経済の崩壊までは、まさにこの路線で成長してきました。今となっては汗顔の至りですが、「この現場での擦り合わせ的な対応力こそが日本企業の強み」であると、筆者もビジネススクールのケース・ディスカッションの場で豪語した記憶もあります。

     

    一方、デジタル化というのは、ある意味優れた日本企業の職人的、属人的な仕事の進め方に対して、すべてを定型化していくような逆の方向性であり、このあたりが日本企業での現場でデジタル化を受け入れ難い事情があったと推察できます。

     

    また、本来デジタル化を担うべきIT部門は、企業内において他のビジネス部門と比較して失礼ながら地位が低く、バックオフィス的な扱いを受けることが多いとも言われています。

     

    さらに会社全体として経営者がIT技術を多彩に活用してビジネス自体を伸ばしていこうという意識も希薄であり、収益を稼ぐビジネス部門とはあまり接点がないというような状況があり、顧客や市場のことはビジネス部門であり、IT部門はそこには口も出せないような雰囲気があるようです。

     

    人材的には、企業内での大きなデジタル投資を進める時などは、通常は自社内での設計ではなくベンダー任せになることからも、デジタル技術の最先端を理解した優秀な人材は、社内のIT部門にはほとんどいないという説もあります。

     

    さらには経営陣による大胆なデジタル投資への意思決定がなかなか進まないことも、デジタル化の遅れの大きな要因であるようですが、それは経営陣の中に最新の世の中の動向やデジタル技術自体への知見が乏しいため、社内的に力のないIT部門からの小規模な投資案件程度への決定に限定されてしまうことになってしまうのでしょう。

     

    こうした日本企業のデジタル化の遅れは、さまざまな要因が複雑に絡み合っていますが、やはり一番大きな問題は、経営陣がグローバルな大きなデジタル化の潮流を見落としてきたという点が決定的ではないでしょうか。

     

    企業経営者には、まずは自らの企業において上記のデータ統合のインフラが整っているのかどうか、自社のデジタル化がどの程度まで進行しているのか、しっかりした現状認識に基づいた冷静な経営判断と積極的な投資行動を期待したいところです。

     

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    筒見 憲三

    愛知県犬山市出身。 1979年京都大学工学部建築学科卒業、1981年同大学院工学研究科建築学専攻修了後、 大手建設会社に入社。 1991年ボストン大学経営学修士(MBA)取得。 1992年(株)日本総合研究所に転職。 1997年(株)ファーストエスコの創業、代表取締役社長に就任。 2007年(株)ヴェリア・ラボラトリーズを創業。代表取締役社長に就任し現在に至る。

     

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『データドリブン脱炭素経営』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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