バブル全盛期には年収1000万円も目指せたトラックドライバーは、運賃値下げや景気低迷の影響を受け、今や「きついにもかかわらず稼げない職業」となっています。年を追うごとにドライバー不足も深刻さを増し、業界大手であっても人材不足の解消に苦労している現況です。長距離輸送のドライバー・浅井さん(仮名)のトラックに同乗し、密着取材をした物流ジャーナリストの刈屋大輔氏が、業界について解説していきます。 ※本連載は、書籍『ルポ トラックドライバー』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
「いったい誰が荷物を運んでくれるのか」…“きつくて稼げない”深刻なトラックドライバー不足 (※写真はイメージです/PIXTA)

【関連記事】バブル全盛期には年収1000万円も目指せた、トラックドライバーの現在

「家族の理解が得られない」トラックドライバーの待遇

SBSホールディングスもドライバー人材の確保に苦労している。同グループの中核会社であるSBSロジコムでは、契約社員ドライバーの正社員への切り替え、ドライバーに対する公平な人事考課を徹底するための管理者層に対する教育研修の強化など、ドライバーの待遇改善に取り組んできたが、その成果はまだまだ不十分だという。

 

ドライバーが集まらない背景の一つとして、同社では“嫁ブロック”を挙げる。採用を担当する齋藤かおり係長(取材当時)はこう指摘する。

 

「過去に経験もあるのでドライバー職に就きたいが、どうしても家族の理解が得られない、と入社を断念する応募者もいる。東日本大震災以降、何か天災が起こった際に、父親が不在だったり、すぐに自宅に戻ってくることができないような環境だったりすると不安なため、特に長距離ドライバーの仕事には就いてほしくない、と考える家族が増えているようだ」

 

ドライバーの仕事を続けていることに対し家族の同意を得られているのか。渋滞を抜けたところで、浅井さんにも尋ねてみた。

 

「うちは娘がすでに成人しているから、何日も家を空けていても問題はない。ただ、まだ小さい子どもさんがいるドライバーは、家族に寂しい思いをさせているだろうね。お父さんが学校の行事に参加できないとかね」

 

午前6時、トラックは大阪に到着。荷降ろしを終えて、この日の浅井さんの仕事は終了した。

 

※ 月曜日夜に東京を出発し、火曜日早朝に大阪に到着。火曜日夜には再び大阪を出発する。