息子は介護から逃げていてはダメ
こうした危機を回避するには、息子がケアから逃げていてはダメ。みずから積極的にケアをする姿勢を見せるしかありません。仕事がある平日はなるべく早く帰り、夜のケアを担当する。休日のケアはすべて引き受けるといった気持ちを奥さんに見せ、実践することです。
つまり、兄弟にしても夫婦にしても、誰かひとりにケアを押しつけるのではなく、介護をする立場にある人はケアに参加し、つらさを分かち合うことが大切なのです。
そのいっぽうで、介護が必要なのに、介護する人がいないケースもあります。独居の人です。ひとり身を通した人、家庭をもっていたが何らかの事情でひとりになった人もいますが、子がいても独居の人はいます。子が遠く離れた土地で家庭をもっており、ケアをするのが不可能なケースです。独居の人に対してはケアマネもひんぱんに訪問するようにしますし、ホームヘルパーを多めに入れる配慮をするものです。
また、見守り要員には民生委員がいます。民生委員は厚生労働省から委嘱され、各町内に配置される“地域のなんでも相談員”といった存在です。困りごとの相談に乗り、必要があれば関係機関につないで解決に導く役割をもっています。
遠隔地に住む親が要介護になり、子がケアに行くことができない場合は、ケアマネに事情を話して独居対応をしてもらうことはもちろん、その地域を担当する民生委員にも連絡を取り、見守りや相談相手になることを頼んでおきたいところです。
■「見守りサービス・機器」で安否をつかむ
見守りや安否確認をする方法は、まだあります。民間企業がさまざまな見守りサービスを提供しているのです。
日本郵便では、郵便配達の職員が介護される人の自宅を月1回訪問して生活状況などを聞くサービス、地域の電力会社やガス会社は、自宅の電気やガスの利用状況をモニターし、異変があればメールで介護をする人に連絡するサービス、警備会社は家の各所に設置したセンサーに異変が示されたら駆けつけるサービスがあります。
どれもそれなりの料金はかかりますが、安心のため、このうちのひとつぐらいは利用してみるのもいいでしょう。
最近では見守りの機器を利用する人も多くなってきました。見守りカメラがそのひとつ。介護される人の部屋に設置しておくと、その映像がスマートフォンで確認できるもので、価格は1台3000円ぐらいから。安価なので各部屋に設置する人もいるようです。
見守りカメラは介護される人の姿を確認するための機器ですが、双方向で映像が確認できるテレビ電話も安価なものが出ています。親御さんも子や孫の顔を見て話ができるのはうれしいですし、元気にもなる。スマホにもテレビ電話機能はありますが、高齢者には対応できない人も多いでしょうから、画面が大きい据え置き型のテレビ電話は重宝するはずです。
相沢 光一
フリーライター