ドライバーの高齢化、人手不足…ヤマト運輸の対応は
それと並行して、高齢化の波も押し寄せている。現在、トラックドライバーの約7割は40代以上で、全体の15%を60代以上が占める。浅井さんも「社内や外部の仲間もドライバーたちはほとんどが40代以上」と指摘する。
その実態は同乗中にも確認できた。大阪市内に入る手前で事故渋滞に巻き込まれて減速走行している時、横並びとなった他のトラックの運転席を覗いてみると、確かにハンドルを握っているのは年配者ばかりだった。
事業者の約7割が人手不足感を訴えるなど、トラック運送業界ではドライバー不足が年を追うごとに深刻さを増しつつある。実際、トラックドライバーを含む「自動車運転の職業」の有効求人倍率は2020年1月時点で3.14倍に達した。この水準は全産業平均の2倍以上に相当する。
中小零細のみならず、経営基盤が安定している業界大手にとっても、人材不足とドライバーの高齢化は悩みのタネだ。
「宅急便」を展開するヤマト運輸は、2016年に新規格のセミトレーラーとフルトレーラーを開発、導入した。
日本初となる新規格の車両には、従来タイプよりも、セミトレーラーで2本、フルトレーラーで6本多く、「宅急便」を積んだカゴ車を荷台に搭載できるといった特徴がある。開発の目的はほかでもない。
同社は「1回の運行でより多くの荷物を運べるようにして幹線輸送の効率化を図る。長距離ドライバー不足の解消といった効果も期待している」と明かす。つまり、人材不足を背景に、少ないドライバーでより多くの荷物を運ぶ手段を模索しているのだ。
さらに同社では、2013年から推進している「バリュー・ネットワーキング構想」に基づき、関東の「厚木ゲートウェイ」、名古屋エリアの「中部ゲートウェイ」に加え、2017年には「関西ゲートウェイ」を大阪府茨木市に新設した。
これは東京〜大阪間を直通運転していた長距離幹線トラックを、東京〜名古屋、名古屋〜大阪といった具合に、各ゲートウェイ間を往復する「リレー方式」による運行に切り替えることで、1運行当たりの輸送距離を短縮し、長距離ドライバーの日帰り勤務を実現しようという試みだ。
刈屋 大輔
青山ロジスティクス総合研究所 代表