英語ではむしろ「説明しないほうが不誠実」
英語での謝罪の仕方は、日本語の場合とは、かなり異なっています。「謝罪」「経緯」「対応策」「再発防止の約束」といった多様な要素で構成されており、中でも目を引くのは、「経緯」の説明の詳細さです。
I know it was due yesterday, but I noticed some errors. So, I needed more time to proofread everything again carefully.
昨日までだとは分かっていたのですが、幾つか間違いがあることに気付いてしまって。それで、全体をよく見直すために、もっと時間が必要だったのです。
ここまでしっかりと説明することが決して珍しくない文化の人には、経緯説明をあえてしないという態度は不誠実に思われてしまう可能性があるのです。個々の言語行為の構成要素とそれらの特徴を意識して話すことが、話の目的をよりよい形で達成するための鍵となります。
言語行為ごとの構成要素を重視しているのは、こうした理由によります。
英語にも丁寧な表現がある?「表現の丁寧度」調節方法
各言語行為の構成要素に続いて、どんな表現を使って話せばその場にふさわしいものになるかについても考える必要があります。直接的でざっくばらんな表現、間接的で丁寧な表現などの使い分けは、基本的には、話題の重さ(トピックの重要度・深刻度)と、相手との人間関係(力関係なども含む心理的な距離)※を意識して行います。
※ 相手との力関係や上下関係を、「人間関係(心理的距離)」とは別の指標として設定する考え方もありますが、ここでは「人間関係」の中に含めています。
ここでは、「依頼をする」という言語行為を、4つの異なる状況を想定して考えてみましょう。
**********
●状況1 友人からペンを借りる 【話題:軽】【人間関係:近】
Can I use your pen?
君のペンを使ってもいい?
●状況2 最近知り合った顧客からペンを借りる 【話題:軽】【人間関係:遠】
Do you mind if I used your pen?
ペンを使わせていただいても構いませんか?
**********
「ペンを借りる」というトピックは軽いものなので、いずれの状況でも比較的短めのシンプルな疑問文が使われていますが、「状況2」のように相手と心理的に距離があり、丁寧にお願いしたいときには、Do you mind if ~?(~しても構いませんか?)や過去形(ここではused)を使って、より間接的で控えめな言い方をします。