「所有」「売却で発生する日米の税金
まず、米国不動産投資ではいつ、どんな税金がかかるのかを整理しておきます。米国不動産投資を行う場合、物件の購入時には税金は発生しません(不動産取引の各種コストは必要です)。
したがって、物件の「所有時」「売却時」にかかる税金を把握しておけばよいのですが、日本国内に居住している人の場合、海外の不動産であっても、そこから得られる賃料収入等については日本で申告し、納税する必要があります。
つまり、米国不動産の「所有時」には、①米国でかかる税金、②日本でかかる税金、そして「売却時」にも、③米国でかかる税金、④日本でかかる税金があるというわけです。そして具体的にかかる税金をまとめると次のようになります。
<所有時>
①米国でかかる税金
・固定資産税
・所得税(家賃収入に対して)
②日本でかかる税金
・所得税(家賃収入に対して)
<売却時>
③米国でかかる税金
・キャピタルゲイン課税
保有1年未満 → 短期キャピタルゲイン課税
保有1年以上 → 長期キャピタルゲイン課税
④日本でかかる税金
・譲渡所得税
5年以内 → 短期譲渡所得(譲渡所得の39.63%※)
5年超 → 長期譲渡所得(譲渡所得の20.315%※)
※譲渡所得税は復興特別所得税を含む。
外国税額控除を利用して二重課税を回避
もちろん、税金がかかるのはそれぞれ「黒字」の場合だけです。米国と日本における 収支と納税のイメージは次のようになります。
1.米国が赤字で、日本でも赤字の場合 →納税なし
2.米国が赤字で、日本では黒字の場合 →日本でのみ課税
3.米国が黒字で、日本では赤字の場合 →米国でのみ課税
4.米国が黒字で、日本でも黒字の場合 →両国で納税
ただし、上記4のケースでは、このままだと二重課税になってしまうため、「外国税額控除」の制度を利用することができます。海外で納税した外国の所得税については、日本で納める所得税から差し引き、残った金額を納税することができるというわけです。
たとえば日本での税額が100万円、海外での納税額が80万円であれば、日本での納税額は100万円-80万円=20万円となります。
次回は、上記を踏まえ、ケーススタディで具体的な償却メリットを解説します。