先月末、国税庁が発表した『民間給与実態統計調査』の最新結果。2年連続で会社員の平均給与は減少し波紋を広げていますが、さらに細かくみていくと、「給与格差」やさらに厳しくなるだろう会社員の未来が見えてきました。
30年間、給与が上がらない日本…「正社員でも負け組」という絶望感 (※写真はイメージです/PIXTA)

正規と非正規…広がる給与格差は?

会社員の平均給与でもう1つ注目したいのが、正規と非正規の給与。2020年、正規(3,485万2,753人)の平均給与は495万7,000円、非正規(1,215万0891人)の平均給与は176万2,000円。その差、319万5,000円でした。

 

正規と非正規の格差は前年から10万5,000円ほど解消。同調査で正規と非正規で数値を発表しているのは、2012年から。当時の正規と非正規の格差は299万6,000円でした。その翌年には300万円を超え、2019年には330万円にまで拡大。それが2020年は10万5,000円ほど解消されました。

 

近年、正規と非正規の格差が問題視され、是正の動きがありましたが、今回、その効果が表れたのか、それともコロナ禍の一時的なものなのか、注視していく必要があるでしょう。

「会社員の給与は30年間上がらない」が正規雇用者に限ると…

会社員の平均給与の推移を見ていくと、「30年間上がっていない」というワードが目立ちます。実際に同調査でその推移を見ていくと、戦後、上がり続けていた会社員の平均給与は、バブル崩壊後の1993年にいったんストップ。その後、再びプラスに転じるも、不良債権問題が本格化し、「潰れるわけがない」と思われていた金融機関が破綻した1998年には再びマイナスに。以降は「会社員の給与は増えない」が当たり前な時代になりました。

 

このような変化の結果、現状の給与水準は2000年代初頭と同等。さらには初めて日本の会社員の平均給与が400万円を超えた1990年代の初頭と同等。これが「会社員の給与は30年間上がっていない」といわれる所以です。

 

【会社員の平均給与の推移】

1988年3,847,000 円

1989年4,024,000 円

1990年4,252,000 円

1991年4,466,000 円

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1998年4,648,000 円

1999年4,613,000 円

2000年4,610,000 円

2001年4,540,000 円

2002年4,478,000 円

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2011年4,090,000 円

2012年4,080,000 円

2013年4,136,000 円

2014年4,150,000 円

2015年4,204,000 円

2016年4,216,000 円

2017年4,322,000 円

2018年4,407,000 円

2019年4,364,000 円

2020年4,330,000 円

 

出所:国税庁『民間給与実態統計調査』より

 

このように「失われた30年」のまっただ中にいる日本。さらに正規に限り、この10年ほどの平均給与を見ていくと、2020年、初めて「給与減」という事態に陥りました。

 

【正規の会社員 平均給与の推移】

2012年4,676,000円

2013年4,730,000円(101.2%)

2014年4,777,000円(101.0%)

2015年4,849,000円(101.5%)

2016年4,869,000円(100.4%)

2017年4,937,000円(101.4%)

2018年5,035,000円(102.0%)

2019年5,046,000円(100.2%)

2020年4,957,000円(98.2%)

 

出所:国税庁『民間給与実態統計調査』より