国税庁による『民間給与実態統計調査』の結果が発表され、2020年の会社員の平均給与は433万円と2年連続の減少となったことが報じられました。給与の減少は住宅ローンを抱える人たちにとっては死活問題。さらに最近、物議を醸している「定年問題」も返済プランに影響を与えるだけに気になるところ。不安定要素が増しているいま、住宅ローン破綻のリスクが高まっています。
40歳、3,400万円の住宅ローン…「45歳定年制」で直面する破綻危機 (※写真はイメージです/PIXTA)

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40歳でマイホーム…年金生活前に完済するには

国土交通省『住宅・土地統計調査』によると持家率は61.2%。昨今、賃貸志向の人が増えていますが、いまなお、マイホームは人々の憧れです。

 

国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』で、戸建てを建てた世帯の平均像を見ていくと、世帯主の平均年齢は平均42.9歳で、建替えを除くと平均年齢は2歳ほど若くなり、平均40.4歳。また平均世帯年収は738万円、首都圏に限ると平均903万円でした。

 

戸建てを建てるのにすべてキャッシュで、というのは珍しく、ほとんどが住宅ローンを活用するでしょう。購入資金(戸建て建築費+土地代)の全国平均は4,606万円。そのうち自己資金比率は平均26.0%。つまり約1,200万円は貯蓄などから支払い、残り3,400万円あまりは住宅ローンを利用したというのが、新築の一戸建てを建てた人たちの平均像です。

 

――40歳にして夢のマイホームを実現する一方で、3,400万円の借金をする

 

これが、新しく戸建てを建ててマイホームを実現する人たちの現実。できれば月々の返済額は抑えたいものですが、ただ抑えれば抑えるほど返済期間は長くなっていくので考えものです。そこで借入3400万円の月々の返済額を、返済期間の違いで見ていきましょう。返済方式は元利均等で、当初5年間の金利は0.6%、以降は1.0%と仮定します。

 

まず返済期間10年では、利息は121万6,364円で、返済総額は3,521万6,364円。月々の返済額は、当初5年は29万1,989円、5年目以降は29万4,959円。月々の返済額は30万円近くにもなります。

 

返済期間15年ではどうでしょうか。利息は203万7,547円で、返済総額は3,603万7,547円。月々の返済額は当初5年は19万7,563円、5年目以降は20万1,531円。月々の返済額は20万円まで圧縮されました。

 

返済期間20年で考えていきましょう。利息は290万0,850円で、返済総額は3,690万0,850円。月々の返済額は当初5年は15万0,371円、5年目以降は15万4,881円です。

 

返済期間25年では利息は378万9,528円で、返済総額は3778万9,528円。月々の返済額は当初5年は12万2,074円、5年目以降は12万6,938円。返済期間30年では、当初5年は10万3,222円、5年目以降は10万8,349円。返済期間が30年では当初5年は8万9,769円、5年目以降は9万5,104円と、月々の返済額は10万円を切ってきます。

 

【借入3400万円…月々の返済額】

返済期間10年…29万1,989円~29万4,959円

返済期間15年…19万7,563円~20万1,531円

返済期間20年…15万0,371円~15万4,881円

返済期間25年…12万2,074円~12万6,938円

返済期間30年…8万9,769円~9万5,104円

 

※返済方式:元利均等、金利:当初5年間0.6%、以降1.0%と仮定

 

仮に建築時、40歳だと仮定すると、60歳の定年までに返済したいとなると月々15万円程度の返済、65歳の年金受給までに返済したいとなると月々12万円程度の返済です。

 

定年後、「年金だけでは暮らせない」とは多くの高齢者が口にするところ。「年金+貯蓄の取り崩し」が生活の基盤です。遅くても年金受給の始まる65歳までには住宅ローンの完済を目指したいと、多くの人は考えるでしょう。