東京五輪開催によってカレンダーに変更があったことを忘れ、「10月11日は祝日でなかった!」と焦った人は多くいたようです。そのようなドタバタ劇がありましたが、日本は世界的にも祝日の多い国として知られています。しかし休みが多いという感覚がないのは、なぜなのでしょうか。厚生労働省『令和2年賃金事情等総合調査』などから、日本の「有給休暇」の実態について見ていきます。
平均取得日数は10.1日…「有給休暇」取らざるを得ない実態の真相 (※写真はイメージです/PIXTA)

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入社から6ヵ月で10日…法律で決められている有給休暇

自分には有給休暇が何日与えられているのか、そして今年はあと何日残っているのか……。この問いにパッと答えられる人は珍しいのではないでしょうか。

 

有休、正しくは年次有給休暇といいますが、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のこと。有給で休むことができる、すなわち、休んでも給与が減らされることのない休暇のことです。

 

略すときに「有休」か「有給」か迷うところですが、「有休」は有給休暇の略語で、「有給」は「給料の支給があること」を意味する言葉として辞書に掲載されていることから、「有休が正しい」とする説が有力です。ただし「有給」と記すメディアもありますし、厚生労働省の資料には「有休」も「有給」、どちらも使われていますので、一概に「有給」は間違いとはいえないようです。本記事では「有休」と記していきます。

 

話を元に戻すと、有休については労働基準法第三十九条に以下のように定められています。

 

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

 

つまり有休は、雇い入れの日から6ヵ月間継続して全労働日の8割以上出勤した際に10日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、その1年間の全労働日の8割以上出勤していれば、11日の年次有給休暇が付与されます。

 

【通常の労働者の付与日数】

「6ヵ月」→「10労働日」

「1年6ヵ月」→「11労働日」

「2年6ヵ月」→「12労働日」

「3年6ヵ月」→「14労働日」

「4年6ヵ月」→「16労働日」

「5年6ヵ月」→「18労働日」

「6年6ヵ月」以上→「20労働日」

 

出所:厚生労働省ホームページより

 

有休は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準法で定められています。ただ使用者は「事業の正常な運営を妨げる」場合は、他の時季に有休を与えることができます。つまり「このタイミングで有休を取られると困る」と会社からいわれる可能性があるということ。ただ有休は労働者の権利であることに変わりはありません。