日本の教員室は「教師たちが仕事をする部屋」
日本の教員室は教師たちが仕事をする部屋だ。広い部屋に学年ごとの「島」がつくられ、机が向かい合って並んでいる。机の上には教科書や参考書、プリントなどが置かれ、周辺の棚にも教材が置かれている。高校では教科別に教員室が設置されていることもあるが、教員室と言えば基本的にメインの教員室を指す。
授業がないとき、教師は教員室で仕事をする。採点や教材研究、事務作業を行い、昼食も食べる。だから自然に物があふれてくる。最近はパソコンに向かうことが多いが、本やプリントがうずたかく積まれた机で教師が仕事をする風景が、多くの人が持つ日本の教員室のイメージではないだろうか。まさに「三密」の世界だ。
豪州の教員室は「教師がくつろぐための部屋」
オーストラリアには教員室がたくさんある。全員が集まるメインの教員室と、ユニットごとに設置された個別の教員室だ。部屋の風景も日本とはずいぶん違う。机は壁に向かって並んでいることが多く、日本のように向き合うことは少ない。
中央にテーブルやソファなどがセットされ、「誰でもどうぞ」といった感じでお菓子やくだものが置いてあり、通りかかった教師がケーキを一切れつまんで口に入れたりする。それぞれの教員室には冷蔵庫や電子レンジ、コーヒーサーバー、マグカップなども設置されている。
オーストラリアの教員室は基本的に教師がくつろぐ場所だ。仕事もするが、休憩に使うことが多い。教員室は情報交換の場でもあり、授業を終えた教師たちが生徒の様子などを伝え合っている。プライベートな話題も多く、ゴシップで盛り上がることも少なくない。教員室は教師たちの重要なコミュニケーションの場なのだ。
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教育学博士
本柳 とみ子
公立中学校で26年間教鞭をとったあと、大学院で海外の教育について研究を始める。その後、慶應義塾普通部、東京海洋大学、早稲田大学等で非常勤講師をしながら研究を続ける。2012年、早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)