洗練されたビジネス英語メールについて、ビジネス英語研修会社Q-Leap代表取締役社長・浅場眞紀子氏が解説。 ※本記事は、書籍『英文Eメールハンドブック』(アルク)より一部を抜粋、再編集したものです。
氏名の後ろに「san」もアリ?英文ビジネスメール術『宛名の書き方』 (※写真はイメージです/PIXTA)

「相手の氏名か性別が不確か」だとしたら、どう書くか

世界には男女の区別も、苗字か名前かも分からない人名がたくさんあります。ここでは、そのような相手に初めてメールを出す際の悩みを解決します。ただし、これらはあくまでも緊急措置です。

 

理想を言えば、事前のリサーチで相手の氏名、男性か女性かなどを確認する努力を惜しまないようにしたいものです。基本はnever assume、つまり「勝手な思い込みで判断するのはやめましょう」ということです。

 

調べてもどうしても分からない場合の対処法は以下の通りです。

 

C)氏名すべてが分かっている場合

 

→「Dear+名前(または敬称+苗字)」が最も一般的で安全

 

ただし中国や韓国の人名の氏名の順は要注意です。英語に倣って「名前―苗字」としている人もいますが、そうでない人も当然います。大事なメールを送る場合は事前に調べましょう。

 

例えば中国国家元首の習近平(Xi Jinping)など、英語メディアでも原語のまま「苗字―名前」の順で表記されるケースはあります。また、インドネシアなど、氏名の区別がないというケースもあります。

 

D)氏名のどちらか一方は分かっているが、それが名前か苗字か分からない場合

 

→ひねり技として「分かっている部分+san」

 

氏名の区別や性別が分からない相手でも、日本のビジネス文化になじみがあると想像できる場合には(-)san(日本語の敬称「さん」)を付けるのも1つの解決策です。

 

sanはジェンダーフリーな上、苗字と名前のどちらにも使えるので非常に便利です。多くの日本企業で海外の担当者や取引先とのやり取りに使われています。

 

E)氏名がまったく分からない相手にメールを出す場合《1》

 

→Dear Sir(またはMadam)、Dear Sir/Madam、Dear Sirs/Madams(複数)

 

やや親近感に欠けるフォーマルな印象の宛名ですが、失礼にはなりません。Dear Sirで男女両方をカバーした時代もありましたが、最近はDear Sir/Madamのように併記した形をよく目にします。ジェンダーの観点からもSirとMadamの両方を書くのが無難です。

 

F)氏名がまったく分からない人にメールを出す場合《2》

 

→To whom it may concern

 

できれば使用を避けたい宛名ですが、info@-----.comのような宛先への事務的な問い合わせ等ならいいかもしれません。それでもHello…;やHi…;の方が、より親切な対応をしてもらえる可能性は高いはずです。To whom it may concernは「誰でもいい」に近いニュアンスがあります。今後ビジネスを深めていきたいと思うような相手には使わない方がいいでしょう。