洗練されたビジネス英語メールを書くためには、異文化理解が必須といえます。ここでは、「異文化としてのEメール」について、ビジネス英語研修会社Q-Leap代表取締役社長・浅場眞紀子氏が解説していきます。 
「英語はストレートな表現を好む」と言われるが…“真実ではない”ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

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「英語はストレートな表現を好む」と認識されているが…

ここまで11回の連載(https://gentosha-go.com/category/st0024)にお付き合い下さりありがとうございました。最後は英文Eメールを書く際の心構え、ひいては他言語を習得する際の心構えのようなものを共有し、終わりにしたいと思います。

 

「英語では物事をストレートに表現する」というようなことを見聞きしたことがある方は多いと思います。その一方、最近では「英語の敬語」といった表現も使われ、「英語はストレートな表現を好む」という見方は必ずしも真実ではない、という認識も少しずつではありますが広まってきているようです。

 

「英語では物事をストレートに表現する」という理解は正しくもあり、間違ってもいます。

 

まず日本語では「主語、動詞、目的語を曖昧にする」(=意図する内容とは異なる表現を使って単語の意味をぼかしたり、省略したりする)ことをよくしますが、英語ではしません。その点では「正しい」といえます。

 

例えば「何か仕事を依頼されたものの、その場では明確な条件を伝えられなかったので期間や報酬などを改めて教えて欲しいと思っている」とき、日本語では次のように伝え、相手が自分の意図を汲んでくれるように期待することが多いでしょう。

 

「詳細な条件に関しましては別途ご相談させていただけますと幸いです。」

 

これが英語なら、例えば次のように表現されます。

 

Can you let me know how much time this requires and your idea regarding fair compensation for my time?

 

訳「この仕事にどのくらいの時間がかかるのかと、私への適正な報酬額に対してのあなたのお考えを教えてください。」

 

日本語で「詳細な条件」と言葉を濁している部分を全てはっきりと表現しています。

 

●How much time this requires: どれくらいの時間が必要か

 

●Fair compensation for my time: 私がそれにかける時間に対する適正な報酬額

 

このように「単語の選択を曖昧にしない」「主語動詞を明瞭にする」という意味において英語はストレートな言語だといえます。

 

では英語は必ずしも「ストレートな言語ではない」とはどのような意味なのでしょうか。