結婚相手に「年収500万以上」を望む女性は多いが…
結婚相談所では、女性が男性を選ぶ際の条件として、できれば年収500万円以上、少なくとも年収400万円が最低ラインなのだそうです。
そのため、結婚相談所では年収500万円以上の男性に殺到し、年収400万円未満の男性はなかなか厳しい立場に立たされる現実があります。
とはいえ、30代独身男性のなかで年収500万円以上は1割未満といわれており、殺到するのも当然といえば当然です。
年収500万円以上の男性は競争率が高いので、女性から積極的にアプローチしても結婚できる確率は高くないかもしれません。もちろん、結婚はお金だけでなく、個人の人柄やフィーリングも大切です。収入を判断基準として偏重し、短絡的に結婚対象外にしてしまうのは、もったいないことだと思います。
しかし、なぜ女性は男性の年収をそこまで重視するのでしょうか?
目につきにくい「見込み資産」について
女性の場合、子どもが小さいあいだはどうしてもフルタイムの仕事ができにくいという事情があります。これは日本の会社組織が抱える問題でもあります。また、子育てには教育費をはじめ、たくさんのお金がかかります。
統計的に見ても、年収が高い人ほど結婚している確率が高く、その点からも、結婚して子どもを育てていくには、それなりの資金力が必要だと推察することができます。
お金という観点でいえば、注目されるのは主に「年収」ですが、それだけでなく「資産」にも着目することが大切です。
結婚適齢期の世代に大きな資産などないのではと思われるかもしれませんが、親から子どもへの相続を考えるとどうでしょうか。この点から、「見込み資産」というものも考察に値するといえるでしょう。
もちろん、親の生活状況の変化や、相続税率の改正といった点も考慮すべきでしょうが、相続権がなくなることは、恐らくないはずです。
なかには結婚を契機に、親から戸建てやマンションを購入してもらう子どももいます。そういった方は、ある意味、将来もらう分を先取りしたとも考えることができます。
結婚相手の両親だけでなく、祖父母も存命なら、さらなる援助が期待できるかもしれません。また、日本の法律ではきょうだいの相続権は平等ですので、きょうだいが少ないほど相続される資産額も大きくなります。
「年収+見込み資産」と「年収のみ」の場合を比較
では、30歳で結婚した場合をシミュレーションしてみましょう。
定年退職する年齢を70歳と仮定し、結婚後40年間働くとします。
◆「年収300万円」+「親にもらえる資産6,000万円」の場合
税金は所得税、住民税、社会保険料などで60万円程度
240万円×40年間=9,600万円
生涯の手取り額9,600万円+親からの資産6,000万円=1億5,600万円
◆「年収500万円」+「親にもらえる資産0円」の場合
税金は所得税、住民税、社会保険料で110万円程度
390万円×40年間=1億5,600万円
もちろん、定期昇給や退職金の有無、職業の安定性、資産運用などによって変動はありますが、年収300万円で親からの資産が6,000万円の場合と、年収500万円で親からの資産が0円の場合では、ほぼ同じくらいの年収および資産が期待できると考えられます。
安定性という観点でいえば、リストラや転職を考慮した場合、年収500万円のほうがリスクが高いかもしれません。
「隠れ資産家」の特徴を知る
では、親が資産家の配偶者候補をどうやって見極めたらいいのでしょうか。まさか、親の資産状況を直球で聞くわけにはいかないでしょう。しかし、「隠れ資産家」をある程度見極めるポイントがあります。
日本人の資産の多くは、銀行預金以外には、不動産(自宅を含む)と株式が中心になりますが、親の資産状況を会話から知ることができます。
◆親きょうだいの様子
親の職業や暮らしぶりは、親の資産と明確な相関関係があります。親きょうだいの職業についても、どの程度教育にお金をかけることができたかの指標になります。また、親以外にも祖父母の職業や暮らしぶりもわかれば、なお参考になるでしょう。
◆実家の様子
両親が暮らす自宅の住所とだいたいの広さを知ることにより、不動産価格を推定することもできます。もし現住所がわかるなら、Googleストリートビューで外観を見ることもできます。ただ、東京都内であっても、住んでいる地域によって一軒家やマンションの値段は大きく異なります。賃貸であったとしても家賃も違います。
◆勉強の内容
本人がどんな学校でどんな勉強をしてきたかも、両親の資産に関係します。中学受験したか、大学は私立か国立か、奨学金制度を利用したか等からも推測できます。
婚活市場に「隠れ資産家」が取り残されてしまうワケ
なかなか見極めが難しいと思うかもしれませんが、だからこそ競争率が高くなく、狙い目なのです。
筆者にも、実家が裕福で、恐らく数億円の資産を相続することになる友人がいますが、本人は平凡な会社員で年収400万円に届かないため、婚活に苦戦しています。隠れ金持ち男性は目立たないからこそ、ひっそりと残っているのです。
年収と資産状況を分類すると、「高年収・高資産」「高年収・低資産」「低年収・高資産」「低年収・低資産」の、4つのパターンが見えてきます。
筆者の知る範囲ですが、「高年収・高資産」「高年収・低資産」の人は、自分の力で稼いでいるという意識が強く、お金の遣い方も派手で、稼げない人にシビアな傾向があるようです。一方、「低年収・高資産」の人は、むやみに浪費せず、生活ぶりも堅実で、性格もマイルドな傾向があるように思われます。余談ですが、親が相当な資産を保有していても、自分がどれほど相続することになるのか、あまり把握していなかったり、無頓着だったりする人もいます。
ふだんの何気ない会話にも、相手のバックグラウンドを考察する手がかりがある、ということです。
蓮池 林太郎
新宿駅前クリニック 院長