オードリー・タンの母、李雅卿氏が創設した学校「種子学苑」。子どもたちは、何を学び、いつ休むかを自分で決める自主学習を行います。そんな特殊な学校で働く1人の教師の「発見」を聞いて、李氏が語ったことは…。 ※本連載は書籍『子どもを伸ばす接し方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・編集したものです。種子学苑に集う子どもや親、先生から寄せられた質問に、同氏が一つ一つ答えていきます。
天才オードリー・タンの母が深く同意した「教師の思わぬ発言」 ※画像はイメージです/PIXTA

たどり着いた「自主学習に、理論的根拠はあるのですか?」への答え

この三年間、子どもたちがどれほど学校の助けとなったか、話せばきりがないほどです。子どもたちのおかげで、「教育」とは科学の一種であり、芸術の一種でもあると、心から実感することができました。

 

さらに面白いことに、自主学習を行う学校の教師になってから、私は仕事とプライベートを切り離すことができなくなりました。一日のうちの数時間を費やして「仕事に向き合う」のではなく、学校のことが常に頭から離れず、生活の中に仕事が溶け込んでいます。

 

子育てと学校作りに格闘した教育者が自らも悩んだ数々の質問に答えます!

私の発見の一つをあなたにお話ししたいと思います。教育とどのように向き合うかは、実はその人が人生とどのように向き合うかを表しています。内面に恐れの心が満ちている人は、どれほど努力しても、他人を信じることができません。心に愛がある人だけが、他人を飛躍させることができるのです。

 

「あなた方の主張する自主学習に、理論的根拠はあるのですか?」と聞かれることもあります。

 

そんな時、私は必ず正直にこう答えます。

 

「既成の理論的根拠があるかどうかは分かりません。これは私が自分の子どもと過ごした経験から培った信念にすぎません。その後、同じ考えの人と一緒に今の学習環境を作ったのは、子どもが本来持つべき学ぶ権利を手にした自主学習によって、大人が子どもを支配する教育に比べ、より多くの主体的な市民を育てられるかどうか確かめたかったからです」

 

 

李 雅卿(リー・ヤーチン)

種子学苑 創立者