「相談に乗りきれなかった」のはどんな人か
誰が相談にきてもいい。私はそう述べました。ただし正直に告白すれば、最後まで相談に乗りきれなかったことも、ゼロではありません。その事例をあえて、ここに記します。
ただ、逆にいえば「ここまで極端な事例でなければ、誰でも相談できる」ということでもあります。どちらかといえば「自分は相談に行っても大丈夫なんだ」と安心するために読み進めてください。
本記事で紹介するは、反社会的勢力だった男性の事例です。
我々の元に相談に訪れたとき、彼には中国人の奥さんと子どもがいました。しかし子どもは出生届を出していません。
男性は日雇いのアルバイトをしています。生活保護の受給を薦めましたが、「そんなものは受けない。住居さえ紹介してくれたら、家賃はしっかり払う」と聞き入れません。
そこで発覚した事実がひとつあります。彼は電気も水道も住居も「自分の名義で契約できない」ことです。過去に「何か」があるのです。でも話してみると、生活を再建するのだという強い意志を感じます。
私は「よし、わかった」と、当機構名義で電気や水道、住居の契約をすることを許可しました。料金はもちろん、その男性に請求する約束です。
しかし彼は、約束を破り、家賃を滞納しました。