生活困窮者の相談に乗り、生活保護の申請を手助け、住まいを紹介するNPO法人・生活支援機構ALL。「困っている人は誰でも、門を叩いてほしい」と代表理事の坂本慎治氏は語る。 ※本連載では書籍『大阪に来たらええやん!西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』(信長出版)より一部を抜粋・編集し、日本の悲惨な実態に迫っていく。
遊び呆け「社長から無一文へ」…生活保護の審査も通らず、見た地獄 (※画像はイメージです/PIXTA)

遊びまくり、人望なし社長、会社を乗っ取られ無一文に

生活保護をもらうのに苦労しながら、なんとか命をつなぎ止め、再起を果たした男性の話をご紹介します。

 

彼はもともと自営業者で、事業そのものはとてもうまく回っていました。

 

しかし残念なことに、彼は少し、浅はかでした。

 

仕事はすべて社員任せで、自分はただ、大金を使って遊び歩くだけ。芸能人と遊んだり、キャバクラでお金をくわえて女の子に抱きついたりしているような写真をたくさんとって、周りに見せびらかしたりするような人でした。

 

当然、社内の人望はゼロ。最終的には専務に会社・お金・従業員をすべて乗っ取られ、社長だった男性は無一文でほっぽり出されました。

 

家族も愛想を尽かし、奥さんは子どもを連れて家を出ていきます。家賃20〜30万円の豪華な賃貸住宅に住んで栄華を誇っていた生活は一転、山奥にある家賃2〜3万円の戸建てを借り、飼っていた犬とともに細々と暮らすようになります。

 

しかしいよいよ、その家賃をも滞納するほどに生活が困窮してきました。

 

もう死ぬしかない。何度も自殺を図りますが、死にきれません。

 

やがて彼は「もう一度、生きる道を選ぶか」と、生活保護の申請を考えます。